大学硬式野球から転向した選手、文武両道を貫く選手

そんな齋藤のように、大学硬式野球部から転向した選手も数名いる。日本体育大の佐藤綾哉投手(磐城出身)も、そんな選手の1人である。

佐藤は福島県の強豪校である磐城から日本体育大に進み、硬式野球部として大学野球のキャリアをスタートさせた。しかし思うように結果が出なかった際、友人からの紹介なども受けて、準硬式に転向した。「硬式に比べ選手が少ない分、1人1人の責任が強くなるため、チームとして束になり戦えるのが準硬式の強みである」と準硬式の魅力を語った。

今大会、日本体育大は第2シードとなったことで、3回戦から登場する。上位進出のチャンスがあるだけに、佐藤の投球がどれだけ勝利に貢献できるか。

こうした実力者がいる一方で、準硬式の根幹といっても良い文武両道を続けながら活躍している選手もいる。

東京大の小林元弘外野手(ラ・サール出身)は、鹿児島県の進学校ラ・サールの出身であり、1年間の浪人を経て国内最高峰の大学である東京大に進学を決めた。

今もなお文武両道で大学生活を送っているが、「大学では週5で練習するのである程度時間が取られてしまいます。うまく成績を取っている部員はメリハリつけて、限られた時間で妥協せず勉強しています」と時間の管理に難しさを感じているそうだが、表情はどこか充実しているようにも見て取れた。

様々な境遇の選手が活躍できるのが準硬式野球。甲子園で活躍したハイレベルな選手たちの野球を体感することもできれば、東京大など超進学校で学業をこなしながら活動する学生も多くいる。

ゆえに、野球に本気で取り組みたい、アルバイトと両立しながら野球を継続したい。学問に影響のないように野球に取り組みたいなど、あらゆる選手がプレーできる世界が準硬式である。だからこそ、準硬式には無限大の可能性・選択肢があるだろう。

3月10日からの大会を通じて、選手たちにはその可能性を是非プレーで示して、準硬式の魅力を見せてほしい。