追い求めた「チームを勝たせられるピッチャー」体現へ
その後、明治神宮野球大会では上武大戦で9回完封勝利を挙げ、大学日本代表候補強化合宿に初招集された。正真正銘のドラフト上位候補として、ラストイヤーに突入した。
しかし、4年春のリーグ戦は1試合の登板イニングが最長6回と体力面の課題が露呈。投球フォームのズレが生じたこともあって思うような成績を残せず、全日本大学野球選手権出場と大学日本代表入りを逃した。昨年7月の取材では、「全国で活躍している選手と比べて、自分の評価は変わっていないどころか下がっていると思います」と危機感を露わにした。
同じく7月の取材では、2023年ドラフト1位の西武・武内 夏暉投手(八幡南ー国学院大)、楽天・古謝 樹投手(湘南学院ー桐蔭横浜大)が1年目から1軍の舞台で躍動していたことを踏まえて「自分も即戦力の大卒左腕になれるという自信はあるか」尋ねた。返ってきたのは「正直今は(武内らを)『すごいな』としか感じられていない。もちろん即戦力になりたい気持ちが強いですけど、今のままではプロに行けたとしても通用しないと思っています」との答えだった。
それでも、ただでは転ばない。秋に向けて走り込みを強化して体力強化に努めた。結果的に秋のリーグ戦は5戦5勝で2完投をマーク。再度評価を上げ、見事ドラフト指名を勝ち取った。学生野球の最後まで驕ることなく、謙虚な姿勢を貫いた佐藤。指名直後も「素直に嬉しいです。自分の強みがプロの世界でどこまで通用するかを確認して、教わりながら、経験しながら成長したい」と落ち着いた口調で喜びと意気込みを語った。
しなやかなフォームから繰り出す、球速以上に質の高いストレートが最大の武器。立ち上がりの悪さという課題は残るものの、大学時代のように着実に克服して成長につなげてくれると信じてやまない。
また、佐藤は過去の取材で何度も「チームを勝たせられるピッチャーになる」との言葉を繰り返していた。東陵時代の恩師・千葉亮輔監督から授かった教訓だ。プロの世界でも理想を追い求め、鯉のエースの座をつかんでもらいたい。