福岡県糟屋郡志免町で活動を行う志免レッドスピリッツは、近年急激に部員数を増やし力をつけているチームだ。昨年は春夏連続でヤングリーグの全国大会に出場し、春はベスト8に進出。また大庭 颯斗選手、岩見 輝晟選手(共に新高校1年)が、ヤングリーグ九州・沖縄代表として第14回巨人杯国際少年野球大会に出場するなど、急成長のチームとして注目を浴びるようになった。

礼儀や社会常識は妥協せずしっかりと指導

 志免総合グラウンドなどを拠点に、土日祝日、加えて平日は火・水・金の3日間活動を行っている志免レッドスピリッツ。今年からは室内練習場も完備し、さらには怪我の防止を目的にトレーナーもチームスタッフに加入。サポート体制は年々充実しているが、2016年のチーム立ち上げ当初は部員も集めにも苦労し、合同チームで大会に出場するのはやっとの状態だったという。

 だが地道な勧誘活動で徐々に選手は増えていき、2022年1月には現在の山本準一監督が就任。2020年時点ではわずか6名ほどだった部員数は、昨年は3学年で44名が在籍し、全国大会でも結果を残したことでその名が広く知られることとなった。

「3年前から監督を務めることとなりましたが、前監督の方針をしっかりと引継ぎ、他の指導者にも恵まれて、たくさんの選手が集まってくれるようになりました」

 選手数増加の要因に山本監督が挙げるのが、選手へのアプローチ方法だ。

 中学生は繊細で多感な時期だが、一方で礼儀や社会常識はしっかりと指導しなければならない、関わり方が非常に難しい年齢だ。山本監督は、技術面と生活面の指導方法を上手く使い分けることで、選手の心を掴みながら必要な社会常識を身に着けさせている。

「基本的に技術的な失敗に対して、責めるような指導はありません。ただ挨拶や整理整頓、全力疾走など誰でもできることを怠った選手には声をかけてしっかりと指導します。他にもグラウンドでの動き、返事、気遣い、こういったことは高校野球、さらには社会に出ていく上で大事なことです。技術的な失敗は許容しますが、姿勢の部分だけはブレずにやっていこうと選手とも常に話はしています」

 全国大会でベスト8に進出した昨年に引き続き、今年も関西地区や関東地区から高校野球関係者が訪れているというが、そのたびに選手たちの野球に対する姿勢には高い評価をもらっているという。

 ただ優しく接するのではなく、程よい距離間でのアプローチ。

 選手の心の成長を最優先に、これからも多感な中学生を指導していくつもりだ。