江戸川は135キロ以上のスピードボールを持っている石橋 諒樹投手(3年)が中心となっているが、投球テンポもよく6回を2失点。ことに、最初に内側を攻めて、外のスライダーで処理していくという投球術はなかなかのクレバーさを感じさせるものだった。また、石田 悠捕手(2年)も、逆シングルのミットの使い方なども巧みで、後逸しない捕球を心がけていたことは、投手にも安心感を与えていた。
石橋諒樹投手
石橋投手は、バント処理などマウンド周りのプレーも上手さを見せていた。実戦経験を積んでいくことで、これからさらに大きく伸びていく期待感もある投手だった。
江戸川の課題は、やはりグラウンドの関係で実戦的練習がもう一つ積みきれていないことだ。その結果の、走塁の判断ミスなどがあった。このあたりを、これからの実戦でしっかりと確認して判断能力を上げていくことが必要だ。
それでも、打線は選手個々のスイングは鋭く、打球も強かった。芝英晃監督は、「日々の練習では夕方の5時までしかできないし、ほかの部との関係もあるので、どうしてもチームプレーの練習がなかなかできません。その分、ティーバッティングなどで個人練習を重ねてきています。オフの間は、特にしっかりと振り込んできた」という成果は十分に出てきているようだ。
江戸川はこれまでは2人だったスポーツ推薦での入学枠が、今年度からは4人になったという。今、都立校では新入部員確保もなかなか難しい環境の中で、この4月も何とか2桁の新入部員を獲得したいという思いだ。
葛飾野は、現在17人の1年生がいるが、そこには届かないまでも、やはり10人以上の新入部員を何とか獲得していきたい。葛飾野OBの順天堂大出身で、日比谷や紅葉川などで監督として実績を作った田河清司コーチが外部スタッフとして細かく指導している。ネット裏で、気がついたことを細かくしゃべり続けることで、それを選手たちが聞きながら、選手たちがそれを吸収していくというスタイル。これも、今の時代の指導体制としてはとてもいいのではないかなと、そんな気にもさせてくれた。
全国的な傾向として、一般的な公立校は部活動としての高校野球をきちんと維持して戦っていく環境がますます厳しくなってきているのが現状だ。そんな中で、限られた条件ではあるけれども、しっかりと部活動としての野球をやって行こう。そんな姿勢を示している両校の、いい雰囲気の試合でもあった。