赤埴、永末のダブルキャプテン

 そして、今年の天理の特徴は主将が2人いることだ。登録上では永末が主将となっているが、実質的は赤埴との2人制を強いている。副主将は置かず、2人でチームを引っ張るのがこのチームの方針だ。近年では天理以外にも主将が2人いるチームを見聞きすることがあるが、それは最近の高校生の気質が影響していると藤原監督は言う。

「高校野球の中に入らせてもらった時にまず思ったのは、今の高校生の性質なのか、黙々と練習は頑張ります。しかし、昔のようにキャプテンが『俺についてこい!』というような親分肌の選手ではなく、黙々とやる選手が多かったので、キャプテンを1人に決めてしまうと、負担が大きくなるんではないかと思いました。それで、新チームから思い切って、『2人制にしたらどうだろうか』と問いかけたら、これは一番機能するんじゃないかということで、2人制にしました」

 実際に永末が「自分だけじゃ引っ張れないっていうのはあったので、2人の方が自分は良いなと思います」と話すように主将2人制は上手く機能しているようだ。練習間のミーティングでは永末と赤埴がチームを引き締めるような発言をしており、行動、言動で引っ張ろうとする姿が見て取れる。

 自分をカバーしてくれる存在がいるからこそ、互いに安心してチームを引っ張ることができているようだ。赤埴は永末との主将2人制について、「日常でも喋るので、凄くやりやすい」と話しており、コミュニケーションを大切にしながらチーム運営を行っている。練習を一日見ただけで、「まだまだ強くなりそうだ」と感じるほどの組織力の高さを感じた。

指揮官にとっては42年ぶりの甲子園 近づく大舞台は楽しみ

1 2 3