2024年は連覇こそ逃したが、リーグ2位と安定した戦いを見せた阪神。2024年の先発防御率2.62はリーグ2位、救援防御率2.27はリーグ1位と投手陣はストロングポイントになっている。大竹 耕太郎済々黌早稲田大)が開幕絶望、西 勇輝菰野)の状態も不安視されるが、門別 啓人東海大札幌)や富田 蓮(大垣商三菱自動車岡崎)など期待の若手が頭角を現している。

 一方で課題となっているのが、打線である。昨年のチーム打率.242はリーグ5位となっている。近本 光司(関西学院大大阪ガス)、森下 翔太東海大相模中央大)、佐藤 輝明(仁川学院近畿大)など一見すると打力のある選手が多いように見えるが、捕手と遊撃手が大きく足を引っ張っている。

 2024年は梅野 隆太郎福岡工大城東福岡大)と坂本 誠志郎履正社明治大)の2人が主にマスクを被った。梅野は95試合で打率.209、坂本は64試合で打率.223。昨年は12球団で唯一、捕手の本塁打がなかった。投手が打席に立つセ・リーグで捕手も一定以上の打撃成績が求められる中、他球団と大きく差が付けられている状況だ。

 だが、打撃力のある捕手がいないわけではない。プロ5年目の榮枝 裕貴高知-立命館大)は昨年二軍で82試合、打率.274、3本塁打、32打点、14盗塁の好成績を残した。高卒4年の中川 勇斗京都国際)は二軍で70試合、打率.321、4本塁打、28打点と圧倒している。しかし、榮枝、中川ともに一軍ではほとんど起用されていない。

 梅野は元々打撃の評価も高い選手であったが、30歳を過ぎてから、打撃成績が低迷。坂本も30歳を越えており、打撃の改善は見込み辛い。梅野、坂本は守備力や経験で抜けているが、藤川球児新監督が榮枝や中川といった打撃型の捕手をどこまで起用するかがポイントになりそうだ。

 遊撃においても昨年は木浪 聖也(青森山田亜細亜大‐Honda)が打率.214と苦しんだ。木浪の不調も相俟って、昨年は捕手、投手が並ぶ下位打線が機能することができなかった。木浪が復調して日本一に輝いた2023年のような成績を残すか、オープン戦で結果を残している高卒7年目の小幡 竜平延岡学園)や高卒5年目の髙寺 望夢(上田西)らがレギュラーを奪うかも注目ポイントだ。

 前川 右京智弁学園)の成長も著しいだけに、捕手と遊撃手の打撃を改善できれば、攻撃力は高まり、リーグ優勝に近づきそうだ。