2年連続で5位に終わったヤクルトは、「捲土重来2025」のスローガンを掲げて、2022年以来となる覇権奪回を目指している。その巻き返しを図るチームの中で注目したいのが、外野のレギュラー争いだ。
昨年は左翼にコンバートされたサンタナが、最高出塁率のタイトルを獲得しベストナインを受賞した。しかし、中堅のレギュラーとして期待されていた塩見 泰隆(武相)は、試合中のアクシデントにより長期離脱を余儀なくされ、出場はわずか31試合にとどまった。西川 遥輝(智弁和歌山)が53試合でスタメン起用されたが、完全なるレギュラーではなかった。右翼もスタメンで50試合以上に出場した選手は不在で固定できなかった。
そんななか、サンタナが順調に仕上げており今年も左翼のレギュラーは固そうだ。中堅の塩見も故障から復帰し、一軍のオープン戦にも出場している。万全なら左翼と中堅の開幕スタメンはこの2人だろう。一方で右翼は激戦となりそうだ。
盗塁王4度の実績を誇るベテラン西川、昨年チームトップの47試合でスタメン右翼に起用された丸山 和郁(前橋商)、期待の右の長距離砲・濱田 太貴(明豊)をはじめ赤羽 由紘(ウェルネス筑北)、澤井 廉(中京大中京)、増田 珠(横浜)らタイプの異なる選手たちがしのぎを削っている。その他に並木 秀尊(市川口)、岩田 幸宏(東洋大姫路)ら中堅タイプの選手たちも控えている。
3月16日時点でヤクルトはオープン戦を11試合消化したが、右翼のスタメンは高津 臣吾監督も1人を固定することなく争わせている。
そのなかで、存在感を示しているのが濱田だ。ここまで7試合(右翼以外も含む)の出場で打率.364(22-8)、1本塁打、OPS.982と結果を残している。右の大砲候補として毎年期待されていた濱田だが、昨年はわずか10試合に出場で打率.077(26-2)、本塁打はなんと0本に終わった。今年はまさにチームのスローガンと同じく捲土重来を期するシーズンでもある。
左の巧打者タイプの丸山も11試合(右翼以外も含む)の出場で打率.333(15-5)、1本塁打を記録。打席数が少ないものの、OPS1.067、盗塁も3つ決めており、打撃成績もよく、走れるところを見せている。そして西川も6試合(右翼以外も含む)の出場で打率.308(13-4)。本塁打こそないものの、4安打の内訳は二塁打3本、三塁打1本とすべて長打を記録している。今年4月に32歳となるがまだまだ健在だ。
スラッガーとして期待されている澤井は打率.100(10-1)で本塁打は0本。結果を残すことができていない。また赤羽と増田はユーティリティー的な役割を担っていることもあり、開幕時点で右翼のレギュラー格ではなさそうだ。
現時点では右の濱田、左の丸山と西川が右翼の開幕スタメン争いでトップグループを形成している。今年のヤクルトは開幕戦で巨人と激突。すでに巨人の開幕投手は右腕の戸郷 翔征(聖心ウルスラ)と発表されている。となると、左打者の丸山と西川が有利に思えるが、高津監督の最終決断はいかに。残り2週間ほどのサバイバルレースの行方に注目したい。