第97回選抜高校野球大会が18日に開幕する。昨年は低反発の新規格の金属バット使用になり、本塁打数が減少するなど用具面で注目された。今シーズンはバットやグラブなどの変更はないが、これまで許可制だったサングラスの使用がレッグガードやエルボーガードと同様に申し出制(バットなどと同じように試合前の用具点検の対象)になり、これまでより使用しやすくなった。
日本高校野球連盟(日本高野連)では1月23日の理事会で高校野球用具の使用制限が審議され、サングラスの申し出制についても承認。全国に発信された。
これまでの使用条件は目の疾病や陽光を和らげること。本塁から投手板を経て二塁へ向かう線が北北東を向いている神宮球場などで外野手がまぶしくて使用するケースが多かった。
実際に明治神宮大会を戦った横浜の阿部 葉太主将(新3年)は外野手。神宮だけでなく神奈川大会の開催球場で使うこともあり、「自分にとっては必要です」と自身のサングラスを常に携帯していることを明かす。
ただ、ほかの選抜出場校の主将の何人かにサングラス着用の可能性を聞いたが、使用条件が緩和されたことに対して「そうなんですか?」「知りませんでした」という声が複数挙がったのは意外だった。一部監督からは、「(ベンチで)着用したいですが、何を言われるかわからない」との声もあった。さらに後日、昨夏の甲子園出場校の監督に聞いた時も「知らなかったです」という声があり、新基準金属バットの時と比べると、シーズン最初の今の時期ではまだ浸透していないように感じる。
サングラスについての日本高野連の発信によると、
<グラウンド上( ベンチ内を含む) にいるすべての選手、記録員、指導者、審判委員などに適用する>
と書かれている。
選手だけなく、普段はベンチにいる記録員や監督、責任教師も着用可能で、グラウンドでは審判委員も着用することができるのだ。
3月1日に明石市で開かれた、選抜高校野球大会でジャッジする審判委員の研修会でサングラスを着用しジャッジする審判委員の姿があった。
研修会を終えた審判委員に話を伺うと、「かけているのといないのでは全然違います。今は警察官も着用していますよね」などという声が挙がった。この日は薄日がさす天気だったが、紫外線は目には見えない光である。目を護るという効果は着用していない時と比べると確実にあるようだ。
これまで疾病以外では眩しいからサングラスを着用するという考え方があったが、紫外線から目を護るという目的が加わったと言っていい。着用したことによる目の疲れ具合は、土日の試合後の月曜日の授業や仕事に良い影響を与える可能性もある。
落として踏むなどの危険を防止するため、サングラスを帽子の庇(ひさし) の上やユニフォームの胸元に掛けてプレイすることなどは禁止されているが、眩しいだけでなく紫外線から目を護るというのは長い人生を考えても大事なことなので、「百聞は一見に如かず」で一度試合で着用を考えてみても良いのではないだろうか。全国の指導者にも選手の目を護るという観点を考えてみてほしい。
≪高校野球用具の使用制限18サングラス≫
・メガネ枠はブラック、ネイビーまたはグレー(ホワイトは不可)とし、メーカー名はメガネ枠の本来の幅以内とする。グラスの眉間部分へのメーカー名もメガネ枠の本来の幅以内とする。なお、メーカー名はメガネ枠と同系色で目立たない色とする。また、著しく反射するレンズのサングラスの使用は認めない。