2021年のドラフト指名選手たちは、プロ入りして4年目を迎えた。オープン戦も佳境に入り、それぞれの現在地が浮き彫りになりつつある。なかでも、もっとも期待を背負ってプロ入りした1位指名選手たちは今、どのような状況にあるのか。主力として活躍する選手、伸び悩む選手、そして崖っぷちに立たされる選手──彼らの現在地を振り返る。

 2021年のドラフト1位指名で大当たりといっても差し支えないのが巨人の大勢(翁田 大勢西脇工関西国際大)と西武の隅田 知一郎波佐見-西日本工業大)の2人だろう。

 大勢は1年目から守護神に抜擢されると57試合の登板で37セーブをマークし新人王を受賞。翌春に行われたWBCの侍ジャパンメンバーにも選ばれた。2年目、3年目は故障もあり1年目ほどの結果を残すことはできなかったものの、3年間で127試合に登板し5勝5敗、80セーブ、14ホールド、防御率2.18は文句なしだろう。今年はライデル・マルティネスの加入もあり、セットアッパーとしての役割になりそうだが、チームに欠かせない戦力であることは間違いない。

 一方の隅田も1年目から先発ローテーションに定着。昨年は初めて規定投球回にも到達し179回1/3を投げ、9勝10敗と負け越したものの防御率2.76と先発ローテーション投手としての役割は十二分に果たしている。アジアプロ野球チャンピオンシップ、プレミア12と侍ジャパンに選出されており、大勢と同じく球団を飛び越え球界の顔となりつつある。

 3年目の昨シーズンにブレイクを果たしたのが広島の黒原 拓未智弁和歌山-関西学院大)だ。2年目までは一軍で17試合(22回1/3)の登板しかなかったが、昨年は主に中継ぎとして53試合(先発2試合)に登板。59回2/3を投げ、67奪三振、防御率2.11と結果を出した。今年も中継ぎの一角として期待されていたが、キャンプの序盤に膝の違和感で離脱。ここまでオープン戦での登板もなく、開幕一軍は少し難しそう。

 残りの9人は一軍で戦力となりきれていない。まずは大卒の投手2人。ヤクルトの山下 輝木更津総合-法政大)と、オリックスの椋木 蓮高川学園-東北福祉大)は共に故障に泣いている。山下は1年目に日本シリーズにも登板したが、以降は一軍での登板は0。一方の椋木はルーキーイヤーにあわやノーヒットノーランの快投を見せるなど2勝を挙げた。しかしトミー・ジョン手術を受けたことで2年目の登板は0。一軍に復帰した昨年は10試合(先発1試合)に登板するも13回を投げ、防御率5.54と苦しんだ。

 大卒野手のブライト 健太葛飾野-上武大)は2年目に一軍デビューを果たし33試合に出場。昨年は35試合に出場しプロ初本塁打を含む2本塁打を放った。しかし一軍に定着したわけではなく、一軍の枠を争っている段階だ。

 高卒の投手は森木 大智高知)、小園 健太市和歌山)、達 孝太天理)、風間 球打明桜)の4人。まだ3年目を終えた段階であり、これから伸びてくる投手ももちろんいるだろう。しかし森木と風間は今年から育成契約と崖っぷちとなった。

 小園は昨年、一軍デビューを果たしたものの2回2/3を投げ5失点とプロの洗礼を浴びた。苦しみながら迎えた今年はここまで順調。3月14日の楽天戦(オープン戦)では、3回無失点とアピールに成功。一軍で出番を増やすためにも、まだまだ実績を積み重ねていきたいところだ。昨年プロ初先発初勝利を挙げた達は、昨シーズン終了後に渡米し武者修行をし、春季キャンプも一軍スタートだった。しかし2月半ばに降格となり、現在は一軍昇格を目指して汗を流している。

 高卒の野手は松川 虎生市和歌山)と、吉野 創士昌平)の2人。松川はルーキーイヤーに開幕スタメンデビューを果たすなど76試合に出場。今年からドジャースでプレーする佐々木 朗希大船渡)とのバッテリーで完全試合も達成するなど注目を浴びた。しかし2年目以降はほとんど一軍での出場機会が訪れていない。今年は佐藤 都志也聖光学院)が故障で出遅れていることもあり、3月に入っても一軍に帯同中。オープン戦では打率.125(8-1)と苦しんでいるが、なんとか結果を残して開幕一軍を掴みたいところだ。吉野はここまで一軍出場がない。

 4年目の今シーズン、大勢や隅田、そして黒原に続くニュースターが現れることに期待がかかる。