<春季東京都高校野球大会第16ブロック:冨士森8―6東大和南>◇20日◇1回戦◇
多摩地区の都立校で、積極的に活動している学校同士の対決となって、好試合が期待された。昨夏の西東京大会でも対戦しており、この時は、メジャーリーグ・アスレチックスとマイナー契約をした投打の二刀流として話題になった森井 翔太郎選手を擁する桐朋を、前の試合で下した富士森に対して、東大和南が食い下がって4対3で競り勝っている。この春のブロック予選ではその再戦となった。
昨秋の結果としては、東大和南はブロック予選初戦で高島とロースコアゲームだったが1点差負け。冨士森はブロック初戦で多摩大聖ヶ丘を下して代表決定戦に進出したが、強豪の八王子に完敗という形になってしまった。
そんな対戦だったが、試合後は富士森の西田拓史監督、東大和南の西悠介監督が異口同音に、「想定していた試合展開とは全く違ってしまった。夏同様に3点から4点の競り合いになると思っていたのだけれども、お互いに序盤に乱れた。やはり、今季初戦ということで硬さもあったのかな」というように、3回表までは、スコアボードに0がないという試合になっていた。ここまでで1時間ほどを擁する試合となってしまっていた。
初回に東大和南はいきなり無死満塁とすると、2本の内野ゴロの間に二者を帰す。その裏富士森は暴投で1点を返す。2回の東大和南は1番荘司元喜選手(2年)のタイムリーでリードを広げるが、その裏の富士森は4本の安打に四球と失策絡みで打者10人で5点を奪って逆転。しかし、直後の3回に東大和南も3四球と相手失策で3点を帰して同点となる。
早いタイミングでリリーフした東大和南は右サイドの江崎将吾投手(3年)、富士森は4回からオーソドックスな上手投げの若林快投手(3年)が、それぞれ粘りの投球を示した。ここからは試合が引き締まった。3回までの展開から一転、投手戦の様相となった。
試合が膠着しかかった6回、富士森は4番入山叶太選手(3年)が肩口から甘く入ってきたところを叩いて左翼柵越のソロアーチを放ってリードした。「思い切って、一発狙うつもりだった」ということだが、その思惑通りの一発だった。結果的にはこれが決勝点となった。8回にも入山選手は失策で出た走者を右前へのタイムリー打で返して4番打者とさしての任を果たしている。
そして、4回からリリーフした若林投手が、入山捕手の要求する通りにしっかりと投げて東大和南打線を6イニング、3安打無失点に抑えた。若林投手は、「こんな展開だったので、自分がしっかりと抑えなくてはいけないという気持ちで投げていたが、思っていた以上にいい投球ができた」と笑顔だった。
西田監督も、「スタートは、何だかバタバタとしてしまったのですが、若林がいい投球をしてくれた。序盤のように投手のボールが多いとミスも出てしまいます。それをしっかり締めてくれた」と、満足していた。
夏の返り討ちとはならなかった西監督は、「継投は予定通りなのですが、ちょっと先発の高羽が早くから乱れてしまいました。本来は、もっと抑えられる子なんですが…。江崎は、いつもの投球だったのですが」と残念がっていた。
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