<第97回選抜高校野球大会:智弁和歌山6-0千葉黎明>◇21日◇1回戦◇甲子園

 優勝候補に名前が挙がる智弁和歌山(和歌山)が、初出場の千葉黎明(千葉)を投打にわたって寄せ付けず、2019年以来、6年ぶりのセンバツ勝利を手にした。

 先発の渡邉 颯人投手(3年)が、プロ注目右腕ぶりを発揮した。序盤こそ、やや不安定な部分もあったが、3回以降は危なげない投球で、相手打線から凡打の山を築いた。三振は5つで、打たせて取る投球を披露。5安打しか許さず、わずか90球での完封勝利。今大会3人目の完封は、100球以内の完封「マダックス」と、格の違いも見せつけた。

 打線も申し分なかった。初回に千葉黎明の先発、190センチの長身左腕・飯高 聖也投手(2年)の立ち上がりを攻め、4本の長短打を浴びせて3点を先制すると、3回をのぞきすべてイニングで走者を出して攻撃の手を緩めなかった。6回、7回、9回の追加点は、すべて犠打がからんでの得点。勝利へ貪欲に得点を求める姿勢の結果だった。2021年夏に優勝して以降、春1度、夏2度甲子園に出場していたが、いずれも初戦敗退。どうしても勝ちたい理由があった。

 快投を演じた渡邉も、昨夏甲子園の初戦敗退の悔しさを知っていた。渡辺は「ずっと課題にしていたストレートのコントロールが非常に良かった。昨夏の悔しさを忘れずに取り組んだことが発揮できた」と胸を張った。嫌な流れを断ち切った全国屈指の強豪が、重圧から解き放たれ、これから本領を発揮していく。

 春夏通じて初の甲子園だった千葉黎明は、投打に圧倒されてしまったが、随所に守備で好プレーが見られ、夏に通じる収穫はあった。春の悔しさを胸に、千葉大会の夏で勝てるチームへと変身するに違いない。

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