<第156回九州地区高校野球大会鹿児島予選:鹿児島水産8-0奄美(7回コールド)>◇21日◇1回戦◇鴨池市民球場

 鹿児島水産は初回、3番・十田青空主将(3年)の右前適時打で先制。3回は5番・田代悠莉(3年)がスクイズを決め、4回は捕逸で追加点を挙げた。

 5回は4番・大迫颯(3年)が右翼線三塁打を放ち、返球が乱れる間に自ら生還するなどで3点を挙げ、6回は5番・田代が中前2点適時打を放った。

 エース田代はテンポ良く17個の三振を打ちとり、走者を出したのは3回に1安打されたのみ。打っても3打点と投打に渡る活躍が光った。

 奄美は目標に掲げた9回まで粘ることも、得点を挙げることもできなかったが、酒匂千速監督は「一冬越えて成長した姿は見せてくれた」手応えを感じていた。

 何より大きかったのは「序盤を粘れた」ことである。初回一死二塁から先制打を浴び、なおも一死二三塁とピンチが続いたが、二塁手・德山陽輝(2年)が落ち着いて本塁送球タッチアウトをとり、中堅手・萩原優玄(2年)が飛球を確実に捕球して、最少失点で切り抜けた。3、4回も最少失点、2回は三者凡退に打ちとっている。

 大島や徳之島との練習試合では2桁大量失点を喫した。エース福永好生(2年)は1試合で200球近く投げたが、そんな経験を積んだことでバッテリーが成長し、粘って試合を作れるようになった。

 「序盤はみんなしっかり声が出ていた」と石原元気主将(3年)。ただ5、6回はミスの連鎖反応が出て、声も出なくなり、大量失点となった。

 部員12人のうち半数は高校から本格的に野球を始めた素人集団だが、昨年1年間の練習と公式戦を経験し、少しずつだが着実に成長の歩みを見せている。今年の夏は「少人数でもやれることを示し、悔いの残らない試合をしたい」と石原主将は闘志を燃やしていた。

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