<令和6年度 秋季埼玉県高等学校野球大会:西武台5-1浦和麗明>20日◇2回戦◇越谷市民球場
吉川悠斗(千葉ロッテ)の弟でMAX144km右腕・吉川翔馬(2年)を擁する浦和麗明vs西武台という初戦屈指の好カード。この両校は既に新人戦で激突。その時は浦和麗明がタイブレークの末9対5で勝利したが、その時は浦和麗明・吉川、西武台・追木渉登(2年)の両エースは共に登板していない。今回はどうか。
今回は先発が浦和麗明・吉川、西武台・追木と両エースが登板し試合が始まる。
吉川は右スリークォーターからテンポ良く投げるMAX144kmの直球が武器の本格派右腕、一方の西武台・追木は旧チームから実績十分の経験豊富な左腕だ。
先制したのは浦和麗明。
2回表、4番・池田陽輝(2年)の死球と6番・水落喧太(1年)のヒットなどで一死一、三塁とし、二死後相手ワイルドピッチで1点を先制する。
だが、西武台はその裏、一死二塁から6番・村上凪(2年)がライト線へタイムリー二塁打を放ちすぐに同点とする。
同点とした西武台は3回、浦和麗明打線が2巡目を迎えた所で早くも左のエース追木を諦め、新人戦の浦和麗明戦で5失点を喫した左腕・加藤爽翔(2年)をマウンドへ送る。加藤爽は今回、「とにかくテンポを早くして相手のタイミングをズラすことと変化球の曲がり幅や配球を意識した」(加藤爽)と、前の試合から変化球を増やしテンポも良くなるなどバージョンアップし浦和麗明打線を封じて見せる。
するとその裏、西武台は連続四球などで一死二、三塁とし、3番・金光希(2年)のタイムリーと相手ワイルドピッチで3対1とする。
流れを掴んだ西武台は5回裏にも3番・金のヒットで一死一塁から、続く田代寛人(1年)が「今日は少し消極的になっていたので、初球から積極的に行った結果」と、センター越えのタイムリー二塁打を放ち4対1とする。
西武台は8回裏にも渡邊健太(2年)、内藤竜暉(1年)の連続長打でダメを押す。
投げては3回途中から好投した西武台の2番手左腕・加藤爽が6回をパーフェクトに抑える好投。9回は右のエース吉良敏信(2年)がきっちりと抑える。
結局、西武台は3投手で浦和麗明打線を僅か1安打に封じ、浦和麗明に5対1で勝利し新人戦のリベンジ達成。初戦を突破した。
西武台はこの日とにかく投手陣が踏ん張った。
「新人戦からチーム的にも(1年生を増やして)様変わりした部分もあり、負けたくない部分もあったんですが、今日は投手起用が全てだった。元々今日は4,5人使う予定で、追木はああいう状態なので1巡で。2巡目からは前の試合で打たれた加藤爽を球種を増やした状態であえて使った。5回くらいまでの予定でしたが良かったので続投させました。吉川君に対してはこの時期140kmほどの直球が高めに来ると厳しいので、コースや振るべきボール見逃すべきボールを徹底させて、5回で100球近く投げさせたのがうちの勝因」(河野監督)と、加藤爽の好投や打線の粘りを手放しに褒める。田代など上位に力もあり元気な1年生が加わり、チームに刺激を与えている。投打が噛み合ってきた西武台が今後どこまで勝ち進むか期待したい。
一方の浦和麗明は頼みの吉川が攻略され、持ち味である打線もこの日は不発。
「新チームの打撃は良いと思っていたんですが大会になって硬くなった。吉川はダメなパターン。今日は変化球が悪かった。テンポがおかしくなることがあるので。三振が取れず粘られておかしくなった。完投させたのは彼が大会で一本立ちしてくれないと困るので将来を見据えて」(佐藤監督)
「そこまで良くなかった。制球が問題だった。ボール自体は走っていたが力んでしまいいつもより横振りになった。下半身を強化しもっと細かい制球力をつけたい」(吉川)と、共に反省点を語る。とはいえ、吉川が今年の埼玉で上位の投手であることに変わりはない。彼の春以降の成長に期待したい。