<第155回九州地区高校野球大会鹿児島県予選:武岡台2-1鹿児島南>21日◇1回戦◇平和リース球場
武岡台の左腕・山小田 圭佑(2年)、鹿児島南の右腕・中村 航大(2年)、両エースが尻上がりに調子を上げ、1点を争う緊迫した投手戦となった。
鹿児島南は1回裏、2番・中村が左越え三塁打を放ち、ボークで先制点を挙げた。
武岡台は2回表、二死三塁から暴投で同点に追いつく。
点の取り合いになりそうな序盤だったが、4回以降は山小田、中村の両エースが立ち直り、テンポ良く三者凡退が続く。
3回以降は1人の走者も出せなかった武岡台だったが、9回表一死二三塁と好機を作り、4番・友江 圭秀(2年)の犠飛で勝ち越した。その裏の攻撃を山小田が無失点で切り抜け、武岡台が接戦をものにした。
「昨年秋の県大会1回戦で勝って以来の県大会の勝利。みんな勝つことに飢えていた」と武岡台・吉田公一監督。苦しみながらも初戦を突破し、ナインは「まるで優勝したような」(吉田監督)喜びを爆発させた。
立ち上がり、連打やボークで失点した山小田だったが「仲間を信じる気持ちでストライク先行の投球を続けるだけだった」。2回以降は無失点の投球を続けて味方の反撃を待った。大きなヤマ場は8回裏。一死一二塁と久々にピンチの場面を迎えたが「力まずに内角を突いて、飛球を打たせる」投球で3番・赤﨑 球真(1年)を捕邪飛、4番・川﨑凌太(2年)を二ゴロで打ち取って切り抜けた。
ピンチの後にチャンスあり。2回以外全く打てていなかった打線が9回表につながって初めて勝ち越す。その裏は、8回まで2-1とリードしながら9回に先頭打者を四球で出してから逆転負けを喫した鹿児島実戦を思い出し、先頭打者を確実に打ち取って、1点差を守った。
「ベンチワークの勝利」と吉田監督はベンチの控え選手たちを隠れた勝因に挙げる。回を追うごとにベンチの声のボリュームが上がり、力強い声掛けでフィールドの選手たちを勇気づけていた。ただ大声を出すだけでなく、得点後に浮かれないように冷静さを注意喚起するなど、場面に応じた的確な声掛けも光った。「ベンチが盛り上がって、自分の気持ちも盛り上げられた。この一体感が武岡台の武器」と山小田。今後の自信になる勝ち方ができた。