【Eブロック】
東洋大姫路(全員一致)
結果:広島商
河嶋:東洋大姫路は誤算続きでしたね。随所で個々の選手能力の高さは見せましたが…。広島商戦はビッグイニングが痛かった。
浦田:エース阪下 漣投手のケガに尽きる。左腕の末永 晄大投手はもう少し好投すると思っていました。
大島:阪下投手の故障は想定外でしたね。これは予想できないです。
馬場:阪下投手だけではなく、守備の要である高畑 知希内野手の体調不良による離脱も痛かったですね。大会前から取材してみて、この2人はメンタル面でも中心でしたので、能力が高い選手が多くても、いきなりの離脱は立て直しは難しかったです。
河嶋:そのため守備のミスも相次ぎました。
広島商・徳永
馬場:岡田龍生監督の野球は強打、高い投手力で勝負するチームに見られがちですが、岡田監督としては守り勝つ野球を履正社時代からずっと大事にしているんですよね。全国で勝つためには打力も必要だと考えていますが、やはり守備だと。
大島:守備だと広島商が素晴らしかった。今大会、新基準バットに慣れてきて、打力が上がっているチームも多いですが、やはり守れているチームが勝っていますよね。広島商の守備力は大会上位。難しい打球をアウトにできている。特に三塁・小田 健登内野手の守備が素晴らしい。ライン際の処理がいいです。
浦田:打者がフライを打たない。徹底してゴロを打ちに行っている印象がある。伝統校らしい作戦だが、新基準バットでレトロな打撃が見直されていますね。
馬場:このチームを率いる荒谷忠勝監督の肝が座った采配がいいですよね。飛び抜けた能力を持った選手はいませんが、控え選手の持ち味を活かして選手起用ができます。選手層を厚くすることができています。
塩澤:投手でも、東洋大姫路戦でリリーフした片岡 虎士投手の好投が大きいですね。明治神宮大会の時から投げていますが、あれほど打ちにくい投手が出てきたら、東洋大姫路打線は打ちにくいと思いました。
■Fブロック
智弁和歌山(塩澤・浦田・大島・馬場) 千葉黎明(河嶋)
結果:智弁和歌山
塩澤:決勝戦まで智弁和歌山が負けるイメージが沸かないぐらい強い。投打にスキがない。
圧力がありますし、1回戦もそうですが、2回戦も4点を取られたとはいえ余裕が感じられました。打線は全体的にいい選手が多いですね。
智弁和歌山・渡邉
馬場:昨年、霞ケ浦の技巧派左腕に抑えられた智弁和歌山とは別のチームです。その対策をとって、逆方向への安打も多いですね。だけど、打球は速い。出場校の中で打撃内容では一番ではないですか。
河嶋:智弁和歌山も甲子園で勝てていない時も投打ともに戦力は上位でした。昨夏のチームも事前の戦力分析ではAクラス、今回もAクラスと評価しました。やっと智弁和歌山らしい戦いを甲子園で見せてくれています。
馬場:まだ二遊間が固まっていないので、緩いところはありますが、それをカバーする打力があります。
塩澤:決勝戦までこのままいくのではと言う強さがありました。
■Gブロック
高松商(河嶋・塩澤・馬場) 早稲田実(浦田・大島)
結果:聖光学院
大島:早稲田実のベスト8予想していましたが、全国で勝つとなると、エース・中村 心大投手頼りのチーム。コントロールに苦しんでいましたね。あと聖光学院は徹底的に球数を投げさせる。昔、甲子園で優勝していた広島商の野球をやっています。あれだと中村は途中で降板しないといけません。
聖光学院・大嶋
塩澤:聖光学院は打者が立つ位置を工夫していました。ベースの近くで立ったことで、中村投手はなかなかインコースで勝負できなかったと語っていました。そうなると必然的に外で勝負することになり、コントロールが甘くなったところを打たれ、そして制球にも苦しんでいました。
大島:あとは守備も素晴らしい。特にセカンドの守備が良かったですね。
浦田:大嶋 哲平投手の投球が異彩を放っている。コントロールで勝負することがいかに大事かを教えてくれている。早稲田実についてはエース中村投手の突然の乱調と守備の乱れは痛かった。伝統校らしく守備は固いと思っていたが、甲子園は難しい。
河嶋:大嶋投手に話を聞くと、下半身主導の投球フォームを心がけ、球速が120キロ後半と速くないので、いかに球質を上げるかにこだわったそうです。初戦で対戦した常葉大菊川の打者に話を聞くと、想像以上に手元で伸びるストレートがいいですね。
馬場:聖光学院の選手たちはかなり気持ちが強い。追い込まれても力を発揮できる強さがある。今は自主性が尊重されている中、のびのびとやるチームが増えていますが、斎藤智也監督のチームマネジメントによってメンタルが強い選手たちがどんどん出ているのではないでしょうか。
河嶋:22年夏の甲子園ベスト4に進んだチームを6月の時に見に行ったのですが、かなりミーティングに時間を割くチーム。練習は活気があっていい。フィジカル強化も徹底してて、上背はなくても個々の能力は高いですよね。
■Hブロック
東海大札幌(河嶋・塩澤・大島) 滋賀学園(浦田・馬場)
結果:浦和実
浦田:左腕・石戸 颯汰投手の好投につきる。幻惑投法は、やはり初見では打てない。さらにもう一人の左腕がいることで、余計に石戸投手の「幻惑ぶり」が目立つ。
浦和実・石戸
河嶋:大会前にもヒーロー候補としてピックアップさせていただきました。全国では厳しいと思いました。相手は滋賀学園、そして東海大札幌でしたから。まさか大会2試合で無失点に抑えるのは驚きでした。やはり通用するんだなと。
浦田:相手の浦和実・石戸投手が良すぎたとはいえ、フライアウトを16も重ねては勝てない。つながる打線がウリだと思っていたが、少々雑な面も否めなかった。
馬場:浦和実は滋賀学園にとって噛み合わせが悪いチームでした。コーチの方と話をしたのですが、高めの速球は手を出さないかというのがテーマだったようですが、手が出てしまったと。
河嶋:滋賀学園の打者と話をしたら、かなり伸びてくるようですね。そして90キロのスローカーブが厄介だと。あとは浦和実が想像以上に打てるのに驚きました。
大島:選手たちの集中力の高さを感じる。今年は健大高崎、横浜に続いてベスト8に入りましたが、関東大会は1点を争う緊迫な勝負が毎回行われている。その駆け引きは他の地域と比べても抜きん出ている。そういったところが甲子園でも実力を発揮できる要因かなと思います。
塩澤:敗れた東海大札幌は走塁など野球の方向性はかなり良かったですね。
馬場:守備の連携などの意識などは良かった。
河嶋:こういった意識付けが良かったからこそ、基本的なミスが多かったのは残念でした。投手も常に走者を背負うことになるので、苦しくなるし大会屈指の左腕・矢吹 太寛投手の不調は痛かった。大会前はかなり調子が良かったのですが、甲子園で力が入ってしまったと。
準々決勝に勝ち上がった時点では、5人の中では、「横浜vs智弁和歌山」「健大高崎vs智弁和歌山」の決勝戦のカードになる声が多かった。ただその中で浦和実が怖い存在だった。果たして、決勝戦はどんなカードになるのか。