公式戦初戦で四国銀行に勝利、「離島から東京ドーム」へ大きな一歩
△イワキテック・小野 耀平監督
中四国地区の大学、愛媛マンダリンパイレーツなどとオープン戦を重ね、迎えた春季四国大会。準決勝からの登場となったイワキテックは1回戦で徳島野球俱楽部を30対0(7回コールド)で下した四国銀行(高知市)と対戦した。
四国銀行はこれまで都市対抗大会22回、日本選手権23回の出場を果たしており、近年でも2020年の都市対抗で初の8強入りを果たすなど、全国レベルの強さを誇っている。
が、公式戦初戦にもかかわらず彼らは勇敢に闘った。オープン戦から約束事としている「ファーストストライクから振っていく」鋭いスイングで、四国銀行の大卒3年目・田中 大成投手(八幡浜ー亜細亜大)から5回までに5連打を含む12安打を集め5点を奪取した。
守っては吉尾のリードに導かれエースナンバー「18」を背負う加藤が130キロ後半のストレートと、120キロ台のカットボール、スライダー、ツーシームを駆使して好投した。加藤自身は「自分としては納得していない出来(8安打1奪三振10四死球)」ながら、「社員の皆さんや上島町の皆さんが応援に来て頂いた」と、感謝の想いを185球3失点完投の奮闘で体現。小野監督や主将・吉尾ですら「全く想定していなかった」公式戦初戦初勝利の快挙を達成した。
連戦で行われたJR四国(高松市)との決勝戦では「加藤に続く投手陣が課題」と指揮官も振り返ったように、一昨年、社会人日本選手権8強入りを果たしているJR四国の勢いを止められず2対12(7回コールド)で準優勝に終わった。それでも加藤が敢闘選手賞、5番打者として2試合8打数5安打の石原 悠志(九州国際大付~横浜商科大~新波)が首位打者賞を受賞するなど、四国の社会人野球に確かな爪あとを残したことは事実だ。
加えて大会最初から最後までバックアップ、カバーリング、全力疾走を誰も怠ることなく「みんなが仲がよく、なあなあにならず先輩後輩関係なく言い合える」(主将・吉尾)島のチームならではの関係性を明確に示した。今大会での大きな第一歩をベースに6月下旬に開幕する都市対抗四国地区予選で、1927年の第1回大会から昨年の94回大会までまだ一度も実現したことがない「離島から東京ドーム」を堂々と狙っていく。