<春季東京都高等学校野球大会:広尾4×-3東京実>◇5日◇1回戦◇JPアセットスタジアム江戸川
広尾が東京実をサヨナラで下し、初戦突破を決めた。9年ぶりの春季大会出場でチームを白星に導いたのがエース右腕・古荘 敦士投手(3年)だった。
この日は153球を投げ10回3失点と粘りの投球を見せた。自慢の真っ直ぐは「本調子ではなかった」としながらも、相手打者の空を切り、力強さを感じさせる。「ど真ん中に投げても打たれない自信があった」と強気なピッチングスタイルで12奪三振。走者を出しながらの投球となったが、広尾の安部 雄太監督も「ここぞで三振がとれるのは大きい。秋より頼もしくなった」と称賛。古荘も「得点圏にきたら集中力を入れて出力をあげて抑えにいくことができた」と、自信を覗かせていた。
驚くべきは球速の成長具合だ。以前までは腕を曲げず遠心力を利用する「アーム投げ」だったのに対し、監督、指導者の薦めで1年冬から肘を曲げたままコンパクトにトップの位置を作る「ショートアーム」に変更。最初は制球力が上がった分、球速が落ちてしまったものの、4ヶ月ほどかけて投球フォームを固め、再び球の速さもアップ。高校入学時は110キロ程度だったが、昨夏の大会後に140キロを計測し、30キロも上がったという。古荘も「腕が下がっていると、体の後に手が来るので、時間が長く、正確な球を投げることが出来なかった。ショートアームにしたことで、考える時間や球持ちがよくなった」と話している。
変化球もカットボール、緩く曲がるカーブを織り混ぜた投球が光る。「自分の取り柄は『全力ストレート』。真っ直ぐをぶつけて打たれたら仕方がないと決めている」と信頼を置く一方、「真っ直ぐで押す中、カーブでカウントをとったり、カットボールで三振をとったりすることもできる」と、真っ直ぐ一本にならず、引き出しも持ち合わせていることも魅力だ。
「夏には150キロを投げたい」と新たな目標を口にした。都立屈指の右腕が見せる成長に期待したい。