<関西学生野球連盟 令和7年度春季リーグ戦 第1節1回戦:立命館大2-0関西大>◇5日◇わかさスタジアム京都
立命館大のエース左腕・有馬 伽久(3年=愛工大名電)が3安打2四球13奪三振でリーグ戦初完封。来年のドラフト候補上位候補に名乗りを上げた。
投球を支えたのは今季から投げ始めたツーシーム。昨年までは最速149キロのストレートと鋭く曲がるスライダーを武器とする投手だったが、「対策されるので、もう一つ落ちるボールが欲しい」と新たに習得した。
データのないボールに関西大打線は対応することができない。8回までに許した安打は内野安打一本のみだった。
さらに高校時代は5番を打っていた有馬は攻撃でも躍動。0対0で迎えた6回表、先頭打者として相手の失策で出塁すると、一死満塁から4番・星野 大和(3年=立命館宇治)の中犠飛で生還する。
さらに7回表は二死二塁のチャンスで打席が回ると、外角に逃げていく変化球に上手く合わせ、中前適時打で大きな2点目をチームにもたらした。
完封勝利がチラつく中、9回裏に関西大も意地を見せ、連打と四球で二死満塁のピンチを招く。
だが、そこでも有馬は落ち着いていた。「自信のある球を投げるしかないという気持ちでした。打たれても良いので、真っ向勝負でいこうと思いました」と最後は内角のストレートで見逃し三振。「有馬様々です」と片山正之監督も唸る快投だった。
「出来すぎですね。去年に投げてない分、思ったよりツーシームがハマったのかなと思います」と話した有馬。この快投の裏にはトヨタ自動車で活躍した社会人野球のレジェンド投手・佐竹 功年氏の存在がある。
片山監督が元トヨタ自動車の監督という縁があり、春のオープン戦で打ち込まれた後に佐竹氏からアドバイスをもらう機会があった。その時の内容をこう語る。
「『左バッターのインコースにストレートとツーシームのようなボールがあれば、簡単に打ち取れるよ』と教えてもらいました。(以前は)どうしても外の真っすぐとスライダーだったので、ツーシームを上手く使いながら今日はピッチングができたと思います」
新球種の習得で投球の幅が広がり、ワンランク上の投手になった印象がある。昨年のドラフト会議では同リーグのライバルだった関西大の金丸 夢斗が4球団競合の末にドラフト1位で中日に入団。「自分も1位で競合されるぐらいでプロに入りたい」と思い描く将来も決して夢物語ではない。
愛工大名電から立命館大に進み、ドラフト1位でプロに進んだ東 克樹(DeNA)と同じサクセスストーリーが現実味を帯びてきた。