<春季静岡県大会敗者復活代表決定戦:加藤学園 7―0 飛龍 (8回コールドゲーム)>◇5日◇愛鷹広域運動公園野球場

 昨年の春季県大会で優勝を果たした加藤学園。昨夏もベスト4進出しており、安定して強いチームというイメージを与えてきていた。しかし、新チームの昨秋は一次予選の初戦で敗退して県大会進出を逃した。そして、この春も初戦は突破したものの、代表決定戦では沼津商に敗れて、敗者復活戦に回ることになった。

 飛龍も昨秋は、一次予選の初戦は突破したものの代表決定戦では三島北に5対12で敗退。敗者復活戦でも伊豆伊東に5対6と競り負けて県大会進出を逃している。そして、この春も富士宮東には勝利したが代表決定戦では桐陽に敗れて敗者戦に回った。

東部地区の有力校同士で、敗者復活代表決定戦としては好カードとなった。

 加藤学園・山田 晃太郎投手(3年)の父・勝司氏は社会人野球経験者で東邦ガスの監督も務めたことがある。そんな野球環境の中で育った山田投手は素材力も高いが、冬の間に体幹を鍛えるなどのトレーニングも積んだことによって、球速も増してきた。この日は最速147キロを表示。ストレートはコンスタントに140キロ台をマークしていた。それでも自身は、「球速よりも、球の質を大事にしていきたい」という思いである。また、球種としてはフォークの握りを少し変えたようなチェンジアップをこの冬にマスターしたという。「空振りが取れるようになったので、三振も増えてきた」と、手ごたえを感じている。

 その言葉通り、この日の山田投手は8イニング投げて、毎回の17三振を奪い、被安打も4。2度の満塁のピンチもあったが、そこは冷静に、内野ゴロを打たせたり、連続三振という形で切り抜けた。米山学監督は、「球速を上げていくこともももちろん大事ですが、それよりも勝てる投手になるためには、とうしていくのかということを口を酸っぱくして言っています」と言うが、メンタル面の成長はあったということである。

 また、そんなアドバイスが、山田投手自身にも「球の質を大事にしていく」発言にも繋がっているし、新しい球種のマスターにもなっていっている。

 また、加藤学園の攻撃面に関しては、2つのスクイズを含めて、試みたバントはすべて成功させた。このあたりの緻密さと丁寧さは加藤学園の持ち味でもある。「ここへきて、ようやく本来のウチらしい野球がやれるようになってきた」と、秋の初戦敗退から、ようやく先が見えてきたというところのようだ。それに、代打で起用されて途中出場となった佐藤勇心選手(3年)が2打席目で、2者を帰す三塁打を放ったことにも、「代打の切り札でもあるので、どこかで使いたいと思っていたけれども、起用に応えてくれた」と、喜んでいた。

 飛龍は、序盤3回3者凡退の連続で、完全に抑えられていた。それでも、4回と6回、満塁の得点機を作るなどして抵抗していたが、最後まで山田投手を攻略しきれなかった。