埼玉で甲子園に近い強豪といえば、花咲徳栄浦和学院が思い浮かぶだろう。一方、進学校として有名なのは、慶応志木早大本庄といったところだろう。では、その両方を高水準で成し遂げている学校といえば川越東だ。

2023年の夏の埼玉大会ではベスト4進出。一方で2020年には現役で東京大への合格者が野球部から誕生した。野球、そして勉強の両方で結果を残す。全国レベルの文武両道を体現する全国でも数少ない学校といっていいだろう。

強豪私学との壁

秋は地区予選を突破したものの、県大会では2回戦で敗退。強豪・浦和学院を前に、2対9と課題を残す結果に終わった。これには主将である柳賢心内野手(3年)も感じるものがあったと振り返る。

「一番は体格に差を感じました。なので、打球の速さ、送球の強さに違いがあったので、体づくりは課題だと思って、見直してきました」

その課題はもちろん予想していたことだったが、「やっぱり一回り大きさが違った」と目の前で現実を突き付けられた。浦和学院戦で先発した吉田大雅投手(3年)も「浦和学院だけではなく、周りの学校と比べてもフィジカルで劣る部分がある」と柳主将同様に、体格に課題を感じていた。

ゆえに「もう一度見直すべきかな」と柳主将をはじめ、選手たちは危機感を覚えて、オフシーズンを過ごしてきた。

全体練習後にはウエイトトレーニングをやったり、練習の合間に選手1人1人に決められたご飯を摂ったりと、春以降に向けてチームとして出来る工夫を凝らして、少しでも強豪私学との体格の差を埋めようとしている。

そしてもう1つ。春に向けて「打ち込まれて苦しい時間に、守備で耐え切れなかった」とピンチの場面での粘り強さも、柳主将は課題に挙げた。

「後半の苦しいところで四球やエラーを重ねてしまって失点を許し、苦しい試合展開になってしまいました。なので、そこを最少失点で凌げるかというのは今後大事だと思いますので、ノックから一球に集中すること。あとは試合を想定して厳しい声掛けをするなど、緊張感を高めて練習することが大事だと思っています」

およそ2時間半しかない練習時間の使い方

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