<秋季京都府大会4回戦:京都外大西 3-2 京都国際(延長11回)>◇2024年9月23日◇太陽が丘球場

 2年連続のセンバツ出場を目指す京都外大西が夏の甲子園覇者・京都国際を下した。

 京都外大西は1回表に二死一、二塁から5番・前川斗真(2年)の中前適時打で1点を先制。2回裏に小川礼斗(1年)に二死満塁から右前適時打を打たれて追いつかれたが、木邨歩夢(2年)から茅原樹(2年)の継投で粘り強く守り抜く。タイブレークの11回表に押し出し四球と前川の犠飛で2点を勝ち越すと、その裏の京都国際の反撃を1点に抑えた。

 野手陣は正捕手の下曽山仁(2年)、不動の1、2番コンビである谷春毅(2年)、杉浦智陽(2年)など実績のある実力者が揃っている。一方、投手陣は夏までエースだった左腕の田中遙音(3年)に依存する部分が否めなかった。新チームでは絶対的な投手がいない分、「みんなで田中を超えるぞ」が投手陣の合言葉になっている。

 先発の木邨は1失点ながらも5回途中7四死球と制球に苦しむ。その中で2番手の茅原がチームを救った。

 同点の5回裏、一死一、二塁のピンチで茅原はマウンドへ。上羽功晃監督から「強気で攻めろ」という指示を受けていた茅原は遊飛でこの回を凌ぐと、6回、8回、9回と満塁のピンチを招くもいずれも無失点で乗り切った。

 この試合最大のハイライトは10回裏、無死満塁と一打サヨナラのピンチを三振、三邪飛、中飛で切り抜ける。2点リードの11回裏にも1点を返されて、なおも一死満塁と逆転サヨナラ負けの危機に陥ったが、連続三振でリードを守った。

「逃げずに攻められたのが良かったと思います。真っすぐが指にかかっていました」と自らの投球を振り返った茅原。最速は130キロ台ながらもスリークォーターから力のある球を投げ込み、粘り強い投球を続けた。

 強敵相手にピンチの連続でも動じない強心臓。その片鱗は文化祭で見せていたと上羽監督は言う。

「みんなはサングラスとか被り物をして、自分がだれかわからない状態で踊ったりするんですよ。でもあいつは素顔で全然普通にやっていたんですよ。それって実はけっこう恥ずかしい。あいつは普通にダンスやっていたので、度胸あるなと思ったんです」

 茅原本人やチームメイトに聞くと、実際はカツラを被って、女装をしていたという。どちらにせよ、この試合で度胸のあるところを見せたことは間違いない。

 今春の甲子園では背番号を貰えずにアルプスで応援。悔しさを味わった。「甲子園の借りを返せるように成長していきたいです」とリベンジを誓う茅原。勝利に貢献した背番号10がこの秋のキーマンになりそうだ。