中日は22年から率いていた立浪和義監督(PL学園出身)の退任が決まり、大きな話題となった。退任後は4連勝して、5位に浮上している。苦しい状況の中で台頭したのはどの選手になるのか。

まずは育成出身の高卒4年目の本格派右腕・松木平 優太(精華出身)だ。2020年育成ドラフト3位で指名された右腕は、昨シーズン二軍で16試合(先発14試合)に登板し81回を投げ防御率4.56の成績を残した。さらなる飛躍を狙った今年は前半戦から絶好調。14試合で9勝3敗、防御率1.84と一気に開花し7月8日に支配下登録を勝ち取った。

その翌々日のDeNA戦でプロ初となる一軍の先発マウンドに立つと7回3失点の堂々たるピッチング。敗戦投手にはなったものの、可能性を大きく感じさせる内容だった。2試合目の登板となった7月31日のヤクルト戦では6回無失点でプロ初勝利。その後も先発登板を重ね23日終了時点で7試合(42.2回)、2勝3敗、防御率3.80の成績を残している。23日の広島戦では7回無失点の好投で2勝目。チームの4連勝を演出した。8月以降はローテーション入りしており、来年も開幕ローテーションを狙える位置にきており、今年の中日にとって大きな成果だろう。

中継ぎではソフトバンク時代に299試合登板した速球派リリーバー・岩嵜 翔(市船橋出身)が復活した。2022年にトミー・ジョン手術を受けたことで2023年から育成契約となり同年は全休。今年6月に支配下復帰を果たしたばかりだが、中継ぎの一角としてすでに21試合に登板。0勝0敗1ホールドと僅差リードの場面では、起用されていない。ただここ2試合で1.2回を投げて自責点7。これまで防御率は2点台後半に推移していたが、5.85と一気に悪化してしまった。ただ、投げるボールは凄まじく、150キロ中盤の速球、140キロ中盤のフォーク、110キロ台のナックルカーブと、ここまで復活を遂げたのは見事。中継ぎの層が分厚いチームではあるが、来年は勝ちパターン入りを争いたいところ。

野手では田中 幹也(東海大菅生出身)が一軍に定着した。ルーキーイヤーだった昨年は右肩の脱臼で一軍出場0に終わった。しかし今年はすでに107試合に出場。打率.219(301-66)と打撃面でのアピールはできていないが、セカンドの守備は天下一品。幾度もチームを救ってきた。持病もあり体力面で不安はあるかもしれないが、来年こそ不動のレギュラーを目指している。

 社会人出身のスラッガー・福永 裕基(天理出身)も着実に進化しつつある。4月は二軍27試合で打率.326、3本塁打、17打点と圧倒的な成績を残して5月から一軍に定着。106試合で打率.294、6本塁打、30打点、OPS.770とブレイクに成功し、スタメンに勝ち取った。プロ1年目は94試合、打率.241、2本塁打、15打点、OPS.616だったので、大きく数字を伸ばした。

この4人が今季の反省を活かし、さらに成績を伸ばせば、来季はかなり楽しみなシーズンになりそうだ。