<埼玉県大会準々決勝:山村学園4-3坂戸>26日◇準々決勝◇レジスタ大宮(大宮市営)球場

 坂戸のベスト8躍進の立役者は独特なフォームの右サイド・エース髙橋 孝太(2年)だ。旧チームでの公式戦の登板経験が豊富で制球が良く安定感がある。今大会も彼が一人で好投を続け前の試合では延長10回タイブレークの末、早大本庄のMAX143km右腕の好投手・田中 柊成(2年)に投げ勝ちここまで勝ち上がった。それだけに山村学園打線に坂戸・髙橋の投球が通用するかがこの試合の一番の焦点であった。

「投手を始めたのが中3の4月でその時からサイドスローです。高校に入って体が小さいのでいかに強いボールを投げられるかってことで旧チームまでは2段モーションで投げていて、夏が終わってさらに反動を使い体重移動を意識したフォーム改造に取り組んでボールが速くなった。5回くらいまでは変わらなかったが連投の疲れから6回以降厳しかった。それでもエースとして気持ちで9回まで粘ることができた。現状のベストは尽くせたかな」(髙橋)と、高橋は前足を後ろに引く独特なフォームからの投球で山村学園打線に対抗。9回被安打9、4失点とゲームは作った。

「ロースコアだったら勝機はあるかなと。思ったより髙橋が頑張ってくれた。6回以降疲れてたけど粘ったね」(宮川浩之監督)と、エースの頑張りに目を細める。

 だがこの日は攻撃がチグハグ。なかなか送りバントが決められず、4併殺に倒れ得点を奪えない。それでも、4点を追う最終回猛反撃を見せる。高橋、菊田 隆真(1年)のヒットにエラーなどが絡み、井出 柊真(2年)の2塁打でついに1点差まで迫る。最後は山村学園・横田 蒼和(2年)の前に後続が倒れ1点差の惜敗。

「0対1で後半折り返せたら面白かったんだけどね。粘りだけは前のチームから引き継いでいる。(4併殺に)バントができないとか1年生達はそういう細かい所まで詰めきれていないので、今後詰めていかないと。ただ夏休み勝てていなかったのでそれを考えるとベスト8は大したもの。とにかく守備は鍛えた。最後まさか横田が出てくるとは。むしろ先発の菊村を早く捉えないといけなかった。1年生が多いので春までにまずは髙橋以外の投手と打撃の底上げが課題」(宮川監督)と、敗戦もここまでの過程を評価。2年連続の21世紀枠埼玉の推薦校の可能性も残す。

 エースの高橋も、「山村学園打線は追い込んでからの変化球がちょっとでも抜けたりすると詰まっても持って行かれて相手の方が少し上だった。自分も一回り体を大きくして、もっと自分がチームを引っ張れるようにレベルの高い投手を目指して。変化球の精度がイマイチなので冬場はもっと変化球を磨いて球速も上げて欲しい時に三振の取れる投手に」(髙橋)と、反省しつつもどこか晴れやかな表情を浮かべる。冬場に鍛え真のエースになることができるか。