<埼玉県大会準々決勝:山村学園4-3坂戸>26日◇準々決勝◇レジスタ大宮(大宮市営)球場
新人戦や県大会でもなかなか登板の機会がなかった山村学園の大型遊撃手・横田 蒼和(2年)が投手としてついにベールを脱いだ。
「最後大事な場面は横田と決めている。ああいう場面でちゃんと投げられるのは横田しかいない。他の投手はワーとなって終わりなんで。横田に一応『肩作っておいて』って言っておいて良かった(笑)」と、岡野監督は胸を撫で下ろす。
山村学園はこの日、坂戸・髙橋 孝太(2年)に苦しむも2回に菊村 崇(1年)の先制打、5回に3番・畠山 明祈(1年)の2点タイムリー、8回に7番・門田 琥白(2年)の犠飛と効果的に得点を奪い4点差で最終回を迎える。投げては先発・菊村が無失点の好投も打球を受け6回で降板。2番手として7回から登板したエースナンバーの左腕・遠藤 隆介(2年)が最終回もマウンドに上がるも坂戸打線に捉まり、3長短打を浴び3点を失い1点差とされ、なお一死二塁。
ついにその場面が来た。
山村学園ベンチはたまらずショートの横田をマウンドへ送る。
「今日は序盤で一気に行こうって話をしていたんですが取れなかったんで少し焦りはあった。7回に『投手の準備をしておけ』と言われ8回に肩を作りました。交代を言われた時は本当に投げるの?って思って緊張していたですが、投げてみたら大丈夫だった。今日は球が走っていて変化球も入っていたので。自分のピッチングができた」(横田)と、オーソドックスなフォームからMAX140kmの直球に変化球を交え、後続を打ち取る。結局、山村学園が1点差で逃げ切り4季連続の準決勝進出を決めた。
「高橋くんは制球が良くて、飛ばないバットじゃないですか。こんなもんかなと。最終回はここまで点を取られるのかと。相手の粘りが凄かった。菊村は今日良かったので最後まで投げさせる予定だったんですが、ピッチャー強襲で継投することになって。遠藤は相手によってはハマって良い投球をするんですが安定感がない。横田は特に打撃の方で背負い過ぎてしまって。もっと気楽に打てば良いのにと思って見ている。ただ、その分後ろの畠山が打ってくれてるんで。次の試合は接戦になると思うので投手陣がどれだけ頑張ってくれるか」(岡野監督)と、思わぬ苦戦も接戦をきっちりと凌ぎ切り、次の相手・浦和実業戦へ目を向ける。投手陣はこれまで菊村、遠藤、金澤 到真(1年)の3投手の継投がこれまでのパターンであったが、現状では経験値が足りない。あくまで新チームでキーになるのは横田と畠山。特に投打に絶対的な存在は横田であることを岡野監督は大会前から語っていた。
「他の投手は練習試合だと良いですが、まだ経験がないので緊張しちゃうのかな。打撃は調子が良い時期にホームランを打って狙う癖がついてスイングが大きくなってしまったので次までに修正したい」(横田)と、持ち味の打撃は2安打を放つも未だ本来の調子ではない横田。この日の好投をきっかけとし、本来の調子を取り戻すことができるか。いずれにせよ準決勝も登板の機会はありそうだ。