<2024秋季近畿学生野球リーグ戦:神戸医療未来大10-4阪南大>27日◇第5節1回戦◇南港中央野球場

 首位の奈良学園大が延長戦を制して、8季ぶりの優勝に王手をかけた。30日の2回戦で勝利すれば、優勝が決まる。

 勝利の立役者となったのが9回途中から2番手でマウンドに上がった城田 聖浩(2年=高知)。角度のある最速145キロのストレートとチェンジアップを武器とする右腕が3回を無失点に抑え、タイブレークの10回、11回も本塁を踏ませなかった。

 出番がやってきたのは9回裏、1対1の同点で無死二塁と一打サヨナラ負けのピンチ。緊迫した場面でも「楽しみながらやっています」と言う城田は捕飛でまず一死を取ると、申告故意四球で一、二塁とした後、中飛と投ゴロに打ち取り、ピンチを乗り切った。

 10回も一死満塁から一ゴロと中飛で無失点に抑えると、1点リードで迎えた11回裏も犠打で一死二、三塁とされた後、二直、申告故意四球、三ゴロでリードを守り切った。

 城田は京都府京都市出身。「森木 大智(現阪神)と一緒にやりたい」と高知高に野球留学した。

 高校時代は同期の森木がエースで、城田は主に一塁手として出場。最後の夏は決勝で明徳義塾に敗れて、甲子園出場は果たせなかった。

 高校卒業後は京都産業大に進学。しかし、1年生の12月に退部して、翌年度に奈良学園大に入り直している。

 大学野球では通算で4年間しかプレーできない。そのため、昨年は公式戦に出場できず、練習だけを行う日々だった。これは伊藤 大海(現日本ハム)が駒澤大を中退して、苫小牧駒澤大(現北洋大)に再入学した時と同じルートを辿っていることになる。

「試合に出られなくて苦しい時期もあったんですけど、上で野球をやるために練習に取り組んできました」と腐ることなく練習に励み、今春にリーグ戦デビューを勝ち取った。

 秋のリーグ戦前には右足と右肘を痛めて出遅れたが、今季は5試合に登板して、13回3分の1を投げて2失点とリリーフエースとしてチームに大きく貢献している。

「苦労人なので、ああいう場面に強いです」と酒井 真二監督は緊迫した終盤の場面で信頼して送り出している。城田もそれを意気に感じており、「投げさせてもらっている感覚なので、感謝の気持ちを持って、優勝して全国に行きたいです」とチームに対する想いは強い。

 彼の熱意が王座奪還を狙う奈良学園大の起爆剤になっている。