皆さん、こんにちは!! 『高校野球ドットコム』の河嶋です!

 ペナントレースはセ・リーグが巨人、パ・リーグがソフトバンクが優勝という結果になりました。シーズンもあと少しですが、去年より数字を大きく伸ばしてきた選手がいます。それが阪神の森下 翔太外野手(東海大相模-中央大)です。プロ1年目から10本塁打、41打点、打率.237、OPS.691と二ケタ本塁打を達成した森下選手は日本一に貢献。2年目のジンクスという言葉もはねのけ、現在は126試合で打率.276、16本塁打、72打点、OPS.803と大きく数字を伸ばしました。それぞれチームトップの数字になります。

 特に8、9月だけで8本塁打、32打点を挙げ、阪神がギリギリまで巨人を追い詰めた原動力になったのは間違いありません。そんな森下選手がプロでの活躍を予感させた大学4年秋について振り返っていきたいと思います。

ドラフト前の練習から感じられた進化の後

 森下選手は東海大相模時代からスラッガーとして活躍。1年生から4番を任され、3年春にはセンバツベスト4を経験。まさにエリート街道を歩んでいた選手でした。プロからも注目されましたが、志望届を出さず、中央大に進学します。

 東海大相模時代も中央大の下級生時もとにかく粗削りで、三振が多いスラッガーでした。大学1年生から大学代表になったように、その長打力は指折りでしたが、三振数も多く、1年春は打率.306を打つ好スタートも、そこからマークが厳しくなり、4年春を迎えるまで打率1割台が2度もありました。ただ4年春は打率.311、3本塁打、11打点と大活躍。なぜこれほど数字が好転したのか。4年秋のシーズン中に取材をしました。

 打撃練習を迎えて、超高校級の選手が入部する中央大のどの打者も鋭い打球を飛ばしていましたが、森下選手1人だけ格の違いを見せていました。本塁打性の打球はもちろん、ライト方向にも強い打球を飛ばすことができていました。

 打撃動作を見ると、構え方に変化がありました。これまではスクエアスタンスで、バットを立てて構えていましたが、バットを耳の近くに置いて構えていました。このフォームの意図について森下選手はこう答えました。

「今まではバットの位置が遠い状態で始まっていました。自分は手で操作してしまう癖があって、上手くボールを捉えきれず、なかなか打率が残せませんでした。打率を残すためにバットを近づけて、耳の横から出すイメージでやっています」

 ミスショットをしないため、1球1球を大事に打つ。理想の打撃フォームを固めるために、全体練習後の個人練習ではスタンドティーで打つ練習を繰り返していました。斜めから入るティー打撃だと、スイングが崩れてしまうため、止まったボールに対して自分が固めてきたスイングを打つ練習を行っていました。他には片手でティーをやるなど、さまざまな種類の打撃をしていて、自分のルーティンをしっかりとこなしてからグラウンドを後にしました。

森下の打撃は打てる打者の条件が詰まっている!

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