<秋季鹿児島県大会:樟南 9-0 沖永良部(7回コールド)>◇2024年9月28日◇1回戦◇平和リース球場

 樟南は初回、3番・下池 投夢(2年)の左前適時打、6番・篠原 流依(2年)の右前適時打に相手のエラーで更に2点が加わり、打者一巡で4点を先取した。2回は4番・迫山 寛汰(2年)の中越え三塁打、6番・篠原の右前適時打で更に2点を加えた。

 4回には7番・渡辺 夏向(2年)の中越え三塁打、代打・竹下 颯音(2年)の左越え二塁打で2点、5回には先頭の政野 宏太主将(2年)が左中間を深々と破るランニング本塁打を放って9点目を挙げた。なおも二死満塁と5回コールドで押し切るかと思われたが、沖永良部が踏ん張って追加点を許さなかった。投手陣は先発の五反田 流星(2年)、2番手左腕・山下 聖弥(1年)、3番手・犬窪 晴人(2年)とつなぎ、沖永良部打線から13三振を奪い、完封した。

「初回の4失点が痛かった」。沖永良部の深田 信平監督、冨岡 壮真主将(2年)は異口同音に振り返った。表の攻撃は2連続三振で三者凡退。攻撃で流れを作れなかった上に、打たれての2失点は仕方ないが、エラーが絡んで更に2失点が重なった。5回裏に1番・政野にランニング本塁打を打たれて9点差になるまで攻守が全くかみ合わなかった。攻撃では安打はおろか、外野に打球を飛ばすこともできず、淡々と終わり、守備が延々と続く悪循環をなかなか断ち切れなかった。

 9点差となってなお二死満塁。あと1点で5回コールドとなるところだったが、ここから踏ん張る。4回途中からリリーフした武 諒太(2年)は、変化球を駆使した配球で立て直し、10点目を許さなかった。

 打線は6回までで12奪三振。樟南の先発・五反田、2番手・山下聖、3番手・犬窪いずれも夏の準優勝に貢献し、県下屈指の好投手である。果敢に振っていったが、三振と凡打の山を築いた。

 それでも7回は3番・武、4番・池下 敦志(2年)、頼みの3、4番が初めての連打で意地を見せる。それまでは「自分が打たなきゃ」と力み過ぎて2三振の5番・冨岡主将だったが、前の2人が打って出塁したことで「後ろにつなごうとコンパクトなスイングを心掛けた」。2ボール2ストライクからの5球目。少し泳がされたが、うまく中前に弾き返した。中前に落ちそうな打球だったが中堅手が好捕。7番・田中 大翔(2年)も中堅返しの打球を放ったが投直で打ち取られ、試合終了だった。

 崩れない守備、好機を確実にものにする勝負強い打線。強豪・樟南との力の差を見せつけられたが、5回で終わらず7回まで試合ができたところに深田監督は「粘れるようになった」と成長を感じた。冨岡主将は「この悔しさをバネにして、次の春は1つ、2つ勝てるチームになりたい」と成長を誓っていた。