今年6月の全日本大学野球選手権で4強入りした東日本国際大が、東北公益文科大相手に快勝し7季連続39度目のリーグ優勝を決めた。2回に伊藤 航大内野手(2年=東海大相模)の2点適時打などで7点を先制。その後は追加点を挙げることができなかったが、先発の最速150キロ右腕・藤井 優矢投手(4年=角館)が7回6安打1四球無失点と好投しコールド勝ちを収めた。

 藤井は4回以外は毎回走者を許す苦しい投球。それでも、3回に無死満塁のピンチを内野フライと内野ゴロ併殺打でしのぐなど粘り強さを発揮し、本塁を踏ませなかった。7回、最後の打者を抑え優勝が決まると、両手でガッツポーズ。試合後は「完投するつもりで、要所要所でギアを上げることを意識しながら投げた。連覇できてよかったです」と胸をなで下ろした。

 全日本大学野球選手権では全4試合に救援登板し、計23回、304球を投じ防御率0.78とフル回転した。その後、侍ジャパン大学日本代表に追加招集され、プラハベースボールウィーク(チェコ)とハーレムベースボールウィーク(オランダ)では中継ぎ、抑えとしていずれもチームの優勝に貢献。藤井の名は瞬く間に全国区となった。

 大学日本代表でともに戦った4年生投手には、今秋のドラフト候補に挙がる愛知工業大の中村 優斗投手(4年=諫早農)、法政大の篠木 健太郎投手(4年=木更津総合)、日本体育大の寺西 成騎投手(4年=星稜)と豪速球を持つ3投手がいた。藤井は「自分よりも球速が5~10キロ速い人ばかりでした」と差を感じつつ、「その中で自分の仕事は全うできた」と手応えもつかんだ。

 一方、初めての国際大会とあって帰国後は心身ともに疲れが出た。そんな中、今秋も主にロングリリーフで投手陣を牽引。高校日本代表との壮行試合で関西に遠征した直後で、雨の中の試合だった福島大戦では5失点と崩れ敗戦投手になったが、「対応できなかったのは自分のせい。すぐに切り替えて、フォームの修正や下半身強化に取り組みました」と振り返るように心は折れなかった。

「勝てば優勝」の大事な一戦では、自身約4か月ぶりとなる先発マウンドを託された。本調子ではなかったものの、時折勢いのある直球で三振を奪い、エースの本領を発揮した。

 大学卒業後は、プロ志望届は提出せず社会人野球に進む予定。藤井は「よかったのが今年の春だけで、ほかの選手と比べてまだまだ実力が足りない。スピードも変化球のキレも、いい時はいいけど悪い時は悪い。今の実力では(NPBに)入れたとしてもすぐダメになると思うので、2年後に即戦力で活躍できる選手になりたい」と話す。

 リーグ戦が終われば来月26、27日に明治神宮大会出場をかけた東北地区大学野球代表決定戦に臨む。昨年のケガを乗り越え、大学ラストイヤーに大きく成長を遂げた鉄腕は「また神宮にいきたい。最後の年をいいかたちで終えられるように頑張る」と気持ちを新たにした。