山形大が福島大との「国立大対決」を制し今秋3勝目。先発の船山 維央投手(4年=酒田東)が9回96球、3安打2四球無失点の好投で虎の子の1点を守り切った。

 2回に1死二、三塁のピンチを招くも三振と内野フライでここをしのぐと、3回以降は被安打わずか1。直球で押す本来の投球スタイルを貫いた「背番号1」が、マウンド上で仁王立ちした。

 昨年までは内野手としてプレーし、3年春には4番を打つこともあったが、大学ラストイヤーを迎えた今春から投手に転向。船山は転向の経緯について「守備が苦手で守るところがなかったので…」と苦笑いを浮かべつつ、「新チームは長いイニングを投げられる投手が足りない状況で、高校時代に少し経験のあった自分が投手をやることになりました」と話す。

 今春は先発5試合を含む6試合に登板し、3度完投するも、白星はつかめず。今秋も全節で先発しこの日の試合前までに計4試合、29回を投げていたが未勝利に終わっていた。

 29日も試合が残っているとはいえ、リーグ戦の登板はおそらく最後。「4年生なので、有終の美を飾ろうと気合いを入れて試合に臨むと、9回は声だけで投げていました」と振り返るように気持ちのこもった投球で凡打の山を築き、最後に待望の白星を手にした。

 山形大は就職活動や資格試験勉強に専念するため3年秋や4年春で競技を引退する選手も多い。船山も教員採用試験を受けながらではあったが、当初から4年秋までやり切ると決めていた。「やっぱり野球が好きなので。野球をやっていない自分を想像できなかったので、続けることに迷いはなかったです」

 3年春から4年春までは主将を務めた。「主将になってから自分のためだけでなくチームのために考えるようになった」といい、元々好きだったバッティングを手放し最後の1年は投手に専念した。

 「3年生までは思うような結果を残せず、チームにも貢献できず苦しい時期があったんですけど、最後に最高のかたちで終わることができた。『終わりよければすべてよし』です」と船山。大学卒業後は地元の山形で教員になる予定で、「まだまだ投げられると思っているので、仕事との兼ね合いを見ながらクラブチームなどで続けたい」と意気込む。これからの人生も、大好きな野球とともに生きるつもりだ。