<秋季静岡県大会:常葉大菊川 4―2 東海大静岡翔洋>◇28日◇準決勝◇静岡草薙球場

 2004年夏以来、甲子園出場から遠ざかっている東海大静岡翔洋。現校名となっての甲子園出場はまだない。それでも、毎大会のように県の上位には進出を果たしている。この秋の県大会も韮山磐田東と下し、準々決勝では有力視されていた日大三島を下してのベスト4進出である。

 常葉大菊川は、昨春にもセンバツ出場を果たしており、これまで春4回、夏5回の甲子園出場実績がある。2007年春には全国制覇を果たし、翌年の夏にも準優勝という実績もある。全国制覇時の石岡諒哉捕手が、監督としてチームを率いている。この秋も、初戦で静岡に8対0と大勝して勢いに乗り、湖西桐陽を下してのベスト4である。

 先発は、東海大静岡翔洋は小松原 健心投手(2年)、常葉大菊川は大村 昂輝投手(2年)の左腕同士。「小松原君はいい投手。甘い球を待っていてもなかなか来ないので、ストライクは積極的に打って行こう」という常葉大菊川の石岡監督の指示で、常葉大菊川打線は初回、早いカウントから打って行ったが、それが功を奏した。このあたりは、まさに全国を席巻した2007~08年当時の常葉菊川野球の再現といっていいものだった。

 しかし、東海大静岡翔洋は3回に本多渉真選手(2年)の三塁打で1点を返し、小松原投手は、2回からは徐々に立ち直りを示してきていた。3回には3者三振と力のあるところを示した。そして、5回に二死走者なしから2番川島 孝太捕手(2年)以下の3連打で1点差とした。東海大翔洋の追い上げムードとなってきていた。

 しかしその裏、常葉大菊川も2番小川 優人選手(1年)が中前打して、暴投で二塁へ進んだところで、4番の児玉一琉選手(2年)がしぶとく中前へはじき返して二塁走者を迎え入れた。石岡監督も、「試合の流れというところからも、この1点は大きかった」と振り返っていた。

 結局、この2点リードを大村投手が守って、常葉大菊川が逃げ切った。常葉大菊川は佐藤太加良二塁手(2年)など、内野の守りでも好プレーが光り、大村投手を支えた。これで、常葉大菊川は、2年ぶりの秋の東海地区大会進出となった。

 激しく追い上げたが届かなかった東海大静岡翔洋東海大浦安で実績をあげて、東海大福岡を経て就任3季目となる森下倫明監督は、「ようやく、静岡県の各学校や監督さんの戦い方、野球が分かってきました」と語っていたが、それだけにここまで来てあと一つ勝ち切りたかったところであろう。「初回、1点で食い止めていたら、また違った流れになっていたのでしょうけれども、ちょっと止めきれませんでした。その後に、反撃が出来ていただけに、残念です」と悔しがっていた。しかし、まだ3位決定戦で東海地区大会進出の可能性もあるわけで、「次は、切り替えていきます」と、先を見据えていた。