<秋季静岡県大会:掛川西 4―2 聖隷クリストファー>◇28日◇準決勝◇静岡草薙球場

 この夏、26年ぶりの甲子園出場を果たした掛川西。甲子園では、その応援スタイルも含めて、多くのファンから支持された。そのチームから何人か残ったこの秋の大会も、ベスト4まで進出してきた。昨秋は、一次予選で敗退して県大会進出がならなかっただけに、この秋への思いは格別だろう。県大会では知徳御殿場西静岡商を下してのベスト4だ。

 聖隷クリストファーはこの夏、決勝で掛川西と甲子園をかけて戦った。夏は2対7で敗退しているだけに、秋でリベンジしたいという思いも強いだろう。ことに、その試合でも投げた高部 陸投手(2年)としては、期するところは大きいはずだ。この秋の県大会では準決勝までには伊豆中央富士市立常葉橘を撃破してきた。

 序盤から中盤は、取ったらすぐに取り返すという展開。初回に聖隷クリストファーが江成 大和(2年)のタイムリーで先制すると、掛川西も直後の2回に初球スクイズで追いつく。そして、整備明けの6回、今度は掛川西が2番佐藤 駿斗捕手(2年)の二塁打と失策で無死三塁として犠飛で1点リードする。しかしその裏、聖隷クリストファーは二死三塁から7番山本 空雅選手(2年)のタイムリー左前打で同点とする。

 こうしてシーソーゲームで終盤に入ったが、8回、掛川西は一死から死四球で好機を作ると途中からリリーフのマウンドに立っていた3番の杉崎 蒼汰投手(2年)が右中間へ二塁打して突き放す。さらに失策もあってもう1点入った。そして、この2点リードを6回途中から加藤 瑞己投手(2年)をリリーフした、背番号1の杉崎投手がしっかりと守り切った。

 11安打を打たれ12三振を奪われていながら、5安打で勝ちを奪った掛川西。このあたりは、まさに「勝ちに不思議の勝ちあり」というところなのだろうか。大石卓哉監督も、「高部君からは、そんなには安打は打てないだろうとは思っていました。だけど、粘っこく食いついていき、先発の加藤も走者は出しても点は取られないという彼本来の持ち味は出せていたと思います。2桁安打されて2桁三振喫して、それでも勝てたということは、甲子園で得てきたものも生きているのではないでしょうか」と語った。

 加えて大石監督は、夏の経験がある佐藤捕手が苦しい場面でも終始声をかけて、チームを引っ張っていたのも、勝因に挙げていた。これで、掛川西は3年ぶりの東海地区大会進出。聖隷クリストファーは、3位決定戦へ望みをかける形となった。