今季、広島とのCS争いを見せるDeNAはドラフト下位指名の野手の台頭が伝統となっている。5番打者の宮﨑 敏郎内野手(厳木出身)は2012年ドラフト6位、3番打者の佐野 恵太内野手(広陵出身)は16年ドラフト9位だ。

 今年も離脱者はいるが、2人の野手の台頭があった。

 まずは山本 祐大(京都翔英出身)。2017年ドラフト9位でDeNAに入団した山本は昨シーズン自己最多の71試合に出場し、打率.277(173-48)、本塁打3本とブレイク。当初から今年は正捕手候補と見られていた。

 その期待通りにここまで108試合の出場で打率.295(358-104)、本塁打5本とレギュラーを手中に収めた。しかし、9月15日の広島戦を最後に怪我で離脱し、シーズン絶望。403打席と規定打席まであと40というところだった。この怪我を乗り越え、来季は不動の正捕手になれるか。

 そしてもうひとりが、7月から絶好調で、現在は1番センターで起用される梶原 昂希(大分雄城台出身)だ。2021年ドラフト6位で入団した梶原は、ここまで目立った成績を残すことができていなかった。今年も開幕一軍入りを果たしたものの、快音は響かず4月下旬に登録を抹消された。

 しかし5月30日に一軍復帰を果たすと、翌日から5試合連続安打を放つなど調子を上げて出番を増やしていく。7月に入ると上位打線で起用されるようになり、19試合で打率.361(72-26)、OPS.803と完全にポジションを手に入れた。8月も調子を落とすことなく打率.360(100-36)、3本、OPS.890と絶好調。計84試合に出場して、打率.302、4本塁打、29打点。シーズン中盤で、DeNAの外野手の中では上位の立ち位置となった。

 ドラフト下位指名だった山本と梶原のふたりが、主力に育ったのはチームにとってこの上なく大きい。

 粘り強く戦ったDeNAは現在3位。4位の広島とはゲーム差が1.5。広島は残り4試合で、DeNAは残り7試合。失速がなければ、CS進出はほぼ確実な状況だ。

 1番起用される梶原は残り試合で数字を挙げることができるか。