今シーズンもBクラスが確定で3人の野手が台頭した。3人とも「いぶし銀」のような活躍だが、チームに欠かせない存在となっている。

 ヤクルトは岩田 幸宏(東洋大姫路出身)が一軍の座を掴んだ。2021年育成ドラフト1位の外野手は、今シーズン開幕時点で育成契約だった。しかし開幕直後に支配下登録されると、一度登録抹消はあったものの9月3日終了時点(以下同)で78試合に出場と大きな飛躍を遂げている。

 岩田は打率.217(120-26)と打撃面では苦戦している。しかし8月14日の中日戦では、終盤8回に第1号となる同点2ランホームランを放つなど徐々に適応。8月下旬からは「2番・センター」でのスタメン起用も増えてきた。

 外野手に怪我人の多いなかセンターを含めて外野3ポジションを守ることができるのは大きな強み。今シーズンどこまで出場機会を増やすことができるか注目を集めている。

 骨折により戦線を離脱している赤羽 由紘(ウェルネス筑北出身)も大きくアピールした。岩田と同じく育成出身の赤羽は一昨年が10試合、昨年は29試合と少しずつ出場機会を増やしてきた。今年は7月31日の試合で死球を受け離脱するまでに36試合に出場。内外野を守ることのできる器用さが売りだが、7月28日の広島戦ではホームランを含む4打数4安打を記録。打撃面でも存在感を示していた。トータルでも打率.241(58-14)、2本塁打と過去2年は1割台から成長を遂げている。

 昨シーズンはわずか3試合の出場にとどまった松本 直樹(丸亀出身)も出場機会を大きく増やした。中村 悠平(福井商出身)、内山 壮真(星稜出身)、古賀 優大(明徳義塾出身)といった捕手たちが、次々にコンディション不良で離脱するなか、開幕から一度も降格することなく一軍に帯同し続けている。

 ここまで58試合出場はキャリアハイ。打撃面で課題はあったが、打率.275(131-36)と打席数は多くないながらも悪くない。得点圏打率.370と勝負強いのも心強い。打席数、安打数、打点数などもキャリアハイを更新し続けている。

 チーム状況が苦しいヤクルトではあるが、岩田のように新しい戦力候補が誕生した。このままシーズン終了までアピールし続けることに期待がかかる。