2日、広島のCS進出可能性が途絶えた。9月1日時点では首位に立っていたにもかかわらず、9月はリーグワーストタイとなる月間20敗。一気にBクラスに落ち込んだ。この「歴史的失速」はドラフトにどのような影響を与えるのか。原因と補強ポイントから指名すべき選手を紹介したい。

歴史的失速の原因”4番の差”を埋める2人のスラッガー

 9月失速の要因はどこにあるのか。筆者は最大の要因を打力不足だと考える。10月2日時点でチーム打率.238はリーグ最下位、9月に限っては、1点以下だった試合が25試合中11試合と半数近くを占めた。中でも、打線の根幹を担う4番の固定ができなかったことは失速に繋がった。9月上旬は末包 昇大外野手(高松商―東洋大―大阪ガス)が座ったが、その後は小園 海斗内野手(報徳学園)、野間 峻祥外野手(神戸村野工(現・彩星工科)―中部学院大)らが名を連ねた。

 近年優勝したチームを見ると、今季優勝を果たした巨人は岡本 和真内野手(智弁学園)、昨年度覇者の阪神は大山 悠輔内野手(つくば秀英―白鴎大)が全試合4番出場でチームの核を担い、21年、22年を制したヤクルトは村上 宗隆内野手(九州学院)が圧巻の成績で連覇に貢献している。やはりどの球団もどっしりと座る4番の存在が大きい。今季広島で主に4番を務めた小園や末包、堂林 翔太内野手(中京大中京)は、他球団の4番と比べても迫力に欠ける。今秋のドラフトでは1位で将来の4番候補の指名が得策だろう。

 では、今年のドラフト市場で当てはまる選手は誰になるのだろうか。広島の苑田 聡彦スカウト顧問は各種報道で今季ドラフトの目玉・明治大の宗山 塁内野手(広陵)を絶賛するコメントを多く残しているが、ドラフト1位で指名にいくべきは青山学院大・西川 史礁外野手(龍谷大平安)と大阪商業大・渡部 聖弥外野手(広陵)の両スラッガーではないだろうか。西川は4番として大学選手権連覇の屋台骨となり、昨春3月には飛び級で侍ジャパンに召集され、第1戦で適時二塁打を含む2打数2安打の堂々たるデビューを飾っている。

 また渡部も関西六大学で新人賞に当たる平古場賞を獲得し、持ち前の打撃で下級生時からレギュラーを掴んだ。逆方向にも強い打球を飛ばすことができるのも魅力で、パワーだけで言えば大学生ナンバーワンと言っても過言ではない。

 広島の外野手布陣をみても秋山 翔吾外野手(横浜創学館ー八戸大(現・八戸学院大)ー西武―レッズー米マイナーー広島)、野間、末包が主戦で出場し、宇草 孔基外野手(常総学院ー法政大)、中村 奨成外野手(広陵)、上本 崇司内野手(広陵ー明治大)と中堅の世代が多い。また若手の成長株を見ても、今春の侍ジャパンに選出された田村 俊介外野手(愛工大名電)以外乏しく、補強ポイントにも合致する。競合覚悟で獲得することができれば、喫緊の広島の課題を埋める選手だと言えるだろう。

中位・下位でも強打者を!ポスト秋山・菊池の着手は急務!

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