球数制限やリエントリー制度など、選手ファーストの取り組みを推し進めるポニーベースボール協会。女子選手が試合に出場できる仕組みなども評価されて、登録チームが右肩上がりで増えている。

日に日に注目度が増しているポニーリーグだが、2023年から新たな取り組みとして女子のワールドシリーズを開催。記念すべき第1回大会は栃木県小山市で行われ、日本が見事優勝を飾った。

2024年は、フィリピンで8月4日から9日までの6日間で大会が行われることが発表されている。連覇の期待がかかる日本も、来る大会に向けて選考会を29日に開催。関東圏のチームのみになったが、11名の選手が参加した。

およそ3時間半、キャッチボールやゲーム形式などで汗を流した選手たち。前回のメンバーが今回も数名参加しているものの、「メンバーは変わっているので、新鮮な印象です」と経験者である野村多貴が話すように、最初は緊張の面持ちをしている選手が多く見られた。

ただ時間が経つにつれて打ち解けていくと、時折笑顔が見られるシーンも。これには「連覇を目指して頑張れるチームになる予感がしました」と野村と同じく前回メンバーで、選考会では選手たちを引っ張っていた西村悠奈は、ワクワクしているようだった。

しかし、そのワクワクは世界一連覇からくる高揚感だけではないようだ。
「日本にはないダイナミックな野球に新鮮さと面白さを感じることは大きいです。ただやっぱり、女子同士で勝負できるところに楽しさがあります。普段は男子と一緒にプレーして技術を盗んで覚えて成長していますが、ハンデがあるのは間違いないので」

女子だけではなく各学年で代表チームを編成し、国際大会を開催しているポニーリーグ。他にはない独自の取り組みだが、先述の西村のみならず現場の選手たちからは喜びの声が多く聞こえた。だからこそ、選手たちはグラウンドで笑顔を見せたのだろう。大会でも多くの笑みが見れることを期待したい。

そんな選手たちの姿に安心していたのは、今大会から代表コーチに就任した小西美加と、小宮志織の2人だ。

小西コーチは女子プロ選手として10年間活躍し、日本代表にも召集された実績を持っている。小宮コーチも女子プロ野球選手として活躍した経歴を持っており、女子硬式野球界の第一線で活躍した2人が日の丸を背負うことになった。

わずか3時間半ほどだったが、「去年の経験者がいるので、仲間意識の強さを感じました」と小西コーチは語ったうえで、選手たちのプレーを好評した。

「いろんなタイプの選手がいましたけど、しっかりした野球を見せてくれました。それぞれがスタイルを持っていて、個性をアピールしてくれて好印象でしたね」

小宮コーチも同様に「レベルは高いですし、仲が良さそうなので、全体的に好印象でした」と充実の3時間半になった模様。当初は大会直前に現地・フィリピンで初顔合わせの予定だったこと、そして大会連覇ということを考えれば、選手たちの起用方法を含めて、それぞれの特徴を知ることが出来たのは大きな収穫となった。

大会連覇へ、今後は自身のチームで練習を重ねて大会を迎えることとなりそう。それぞれで研鑽を重ねていくことになるが、そうした普段の行動の大切さを、代表経験者・小西コーチは語った。

「優勝というのはもちろんありますが、優勝すれば何でもいいわけではないと思っています。やっぱり中学生だから遊びたいし、羽を伸ばしたいとか色々あると思うんです。だけど、代表選手として日ごろの行動が見られていることを自覚してもらえば、選手たちの成長に繋がると思うんです。

だからチームのプライドとか全て背負って戦えるか、というような話をできたらと思っていますし、普段やっている当たり前のことをきちんとやった結果、最終的に勝利に結びつくような戦いをしたいと考えています」

日の丸の重みを知るコーチとともに、ポニー女子日本代表が8月、再び世界一達成へライバルたちとしのぎを削る。どんな野球を見せてくれるのか。