2023年にポニー(U-14)代表をはじめ、3つカテゴリーでワールドシリーズ制覇の快挙を成し遂げた日本ポニーベースボール協会。2024年は協会創設50周年の節目ということもあり、様々な取り組みが予定されている中、3日に毎年開催しているポニーフェスタを開いた。

途中、1年生大会の開会式を入れながら、朝7時半より肩肘検診やベースランニング、午後からボール回し競争などを実施。1日かけて関東連盟に所属するポニーリーガー1500人近くの選手が懸命にプレーした。

参加した選手からは「初参加ですが、ボール回しなどで競争できると聞いていたので楽しみにしていました」と心待ちにしていた選手もいれば、「自分たちにとってはお祭りなので楽しいし、こういうイベントは嬉しい」といった声が聞こえてきた。選手たちのモチベーションになっていることは間違いないが、全選手が受けた肩肘検診も忘れてはならない。

本来はポニーリーグ全体を盛り上げるのはもちろん、この肩肘検診も目的に、ポニーフェスタはスタートしている。そもそもポニーリーグは「我々の国家の宝である青少年の成長を守ろう」という理念のもと、学年ごとで球数制限を設定。さらに3月の全国大会では、希望者による肩肘検診を開催するなど協会が主体となって積極的に肩肘の健康を守ろうと働きかけている。

今回もその一環で行われており、現場には慶友整形外科病院のスタッフが訪問。慶友整形外科病院といえば、肘のトミージョン手術の第一人者・古島弘三氏がいるところで、関係者のなかでは知られている病院だ。そんな有名なところのスタッフたちが診察するとあって、問診・触診、さらにはエコーでの状態確認と、選手1人あたり約1分程度で診察した。

現場に駆け付けた高橋啓先生によると、「小学生の時の投球過多などが原因で、中学1年生でも離断性骨軟骨炎という野球肘の症状が見られるケースもあります」と話す。野球肘といえば、野球界ではよく聞く症状で、2023年に大谷翔平がトミージョン手術で治したケガとして認識している人もいるだろうが、それは肘の内側が対象となっている。

髙橋先生の話す離断性骨軟骨炎は外側の部位に見られる症状だが、野球肘に分類されることは間違いない。そういったことを未然に防ぐ協会の取り組みは「素晴らしいことだ」と高橋先生は語る。

「こういったことが普及することでケガを予防して、上のステージでも成長できる可能性を最大限残ると思うんです。ですので、活動そのものは短期的なものではなく地道にはなりますが、それを協会全体が先進的にやっていることが素晴らしいと思います」

今回の肩肘検診を受診した選手たちに聞くと、「初めてやったんですけど、エコーなど本格的な機械で診てもらえてよかった」と普段やらない診察に興味を示している選手もいれば、「これまで以上にアイシングを大事にやろうと思いました」と肩肘に対するケアの意識を高めている選手も見られた。

今の状態を知ることはもちろん、自身の健康状態を気に掛けるのも、選手として必要なこと。それが最終的に、選手生命を伸ばすことにもつながる。些細なことではあるが、ポニーリーグの取り組みは大きな意味があることは間違いなさそうだ。

肩肘の保護という観点でいえば、一部のチームが2024年からポニーリーグへ協賛を始めた株式会社しゃもじが運営しているアプリ・Suportal(サポータル)で選手たちの健康状態を管理し始めているという。

肩・肘・腰の半年以内のケガの可能性を数値で可視化させることで、メディカル管理・補強メニューを提案するという。運営する土井良記社長は「アプリ内の数値を通じて、行動するきっかけにして欲しい」と話していた。選手たちの成長を支えるという意味では、これからのポニーを支えていくことになりそうだ。

ちなみにベースランニングの決勝は1年生がSKポニー、2、3年生は江東ライオンズが優勝。またボール回しについては、1年生がつくばポニー、2、3年生は清瀬ポニーの優勝で幕を下ろした。

6月は代表活動、7月には全国大会と山場が待っているポニーにとって、これは勢いを加速させる1日となった。