<秋季東京都大会:国学院久我山 4-3 東海大菅生>5日◇1回戦◇スリーボンドスタジアム八王子

 3年前の西東京大会の決勝戦という好カードだったが、試合後、国学院久我山の尾崎 直輝監督は、「天候によく順応してくれました」と語る。試合開始前から雨が降りはじめ、ややぬかるんだ状態で試合が行われた。

 東海大菅生は背番号17の川崎 稜太(2年)が先発した。若林 弘泰監督によれば、左腕の上原 慎之輔(2年)は8月に肩に違和感があり、本調子でない。背番号1の藤平 寛己(2年)の調子も今一つで、一番調子がいい川崎が先発になった。

 しかし川崎は2回裏に突然乱れる。2四死球と内野安打で一死満塁となり、9番で先発投手でもある瀬尾 知生(2年)の左前安打で国学院久我山が1点を先制する。瀬尾は投手で9番打者だが、「バッティングも能力は高いです」と尾崎監督は言う。さらに2番・山下 誠健に四球で押し出しの1点が入る。川崎は雨がぬかるんだ足元をかなり気にしている感じであった。

 東海大菅生はたまらず左腕の上原を投入する。国学院久我山は、3番・藤原 平太捕手(2年)が上原から左前安打を放ち2人が還る。この2点が大きかった。

 東海大菅生の若林監督は「あの回は、1点で終わっていれば……。もう少し(川崎を)引っ張りたかったですね」と語る。押し出しでの失点で上原の投入が早まり、そのうえ上原を投入してすぐの2点適時打は痛かった。一方国学院久我山の尾崎監督は、「(上原に対する)イメージはしっかりできていました」と語る。

 西東京は東海大菅生の上原のほかにも、早稲田実の中村 心大(2年)、日大鶴ケ丘の住 日翔夢(2年)、佼成学園の熊谷 憲祐(2年)など、左の好投手が多い。そのため国学院久我山は、左対策をしっかり積んできた。その成果が上原の代わり端の適時打につながった。

 また上原が代わり端に打たれるのは、西東京大会の拓大一戦に続いてのことだ。そしてあの試合と同じように、次の回からは上原は、野手の好守備もあって得点を許さない。

 国学院久我山は先発の瀬尾は滑りやすい足元をものともせず5回まで無失点の好投。6回表に東海大菅生の3番・前田 蓮内野手(2年)の適時二塁打で1点を失ったところで、変則技巧派の松崎 悠太(2年)が登板。松崎は7回表に1点を失うと、8回表からは背番号1の左腕・内田 開音(2年)を投入。内田は東海大菅生の4番・太田 真滉内野手(2年)の二塁打で1点を失い、東海大菅生が1点差に迫る。しかし9回表は東海大菅生の攻撃を3人で抑え、国学院久我山が2回の4点を3人の投手のリレーで守り切り、強豪対決を制した。

 東海大菅生は守備など、個々の選手のレベルは高い。けれども、得点は挙げても1点止まりでたたみかけるような力強さはなかった。春はノーシードからの戦いになる。しっかり立て直して、巻き返しを期待したい。

 国学院久我山は雨の中で傷口を広げない戦いをして、逃げ切った。東海大菅生を破ったことで展望が開けてきたが、トーナメントは一戦一戦だ。2回戦は東京実を破った東京と対戦する。