2021年のドラフトで昌平(埼玉)の吉野 創士外野手が楽天に1位指名を受け、プロ入りを果たした。高校通算56本塁打を誇りながら俊足も兼ね備えている。走攻守で世代トップクラスの野手として注目を浴びてきた吉野の姿に、感慨深い思いでドラフト当日を迎えた人物がいた。


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 吉野が中学3年間を過ごした東京城南ボーイズの大枝茂明監督は「あたかも自分がドラフト1位で指名されたかのように舞い上がってしまうほど嬉しかった」と当日の思いを振り返った。長年、多くの中学野球で球児を指導してきた中で、トップクラスの潜在能力を秘めていた吉野が「無事」プロ入りを果たした瞬間は指導者冥利に尽きるひとときだった。

 「この子は必ずプロに行きます」。その確信を周囲に伝えるようになったのは吉野が中学2年の5月ごろだった。この時期に行われる関東ボーイズリーグ大会で「上で試す」ということで初めて上級生もいる公式戦で使った。すると吉野はデビュー戦で本塁打を記録。チームもベスト8に進出した。ベスト8進出チームから代表1人ずつスイングスピードを測る機会があり、「3年生からは負けた責任として選ばずに、2年生の吉野を行かせてみました」とチームの代表で吉野を計測会に臨ませた。すると全国1位の記録を叩き出し、計測を行ったメーカーの担当者をはじめ、周囲を驚かせた。「2年生なのにすごいスイングをしている、高校野球の強豪校クラスの数字です、とびっくりされました」。大枝監督も驚いたが、そこから吉野に対し指導者としての責任が芽生えた。

 ポテンシャルは抜群。そんな吉野がこれからもしっかりと持ち前のパフォーマンスを発揮できるように、最高の状態で上の舞台で羽ばたいてほしいという思いで試練を与えた。最後の全国大会は「7番・サード」で起用。常に慢心は許さなかった。そして、少なからず強豪校の誘いがあったというが社会人野球の強豪・シダックスでプレーした経験のある黒坂洋介監督の熱意を信じ、プロ野球選手の輩出もなければ、甲子園出場経験のない埼玉の昌平への進学を後押しした。