目次

[1]時代のニーズに即した育成プラン
[2]強打者を次々と輩出する愛工大名電のティーバッティングを紹介



 「高校野球界における福岡ソフトバンクホークスでありたい」

 昨年12月の取材、愛工大名電の名将・倉野 光生監督が強く主張していたメッセージだ。愛工大名電は、12年ぶりの春の愛知県大会を制して頂の景色を見た。東海大会ではベスト4まで勝ち進んだ高校野球の超名門校・愛工大名電

 では、冒頭で書き記した「福岡ソフトバンクホークスでありたい」とは一体どういうことなのか。その答えは勝利と育成の両立だ。

時代のニーズに即した育成プラン


 勝利と育成を両立させたいと願うのは愛工大名電だけではない。多くの学校が甲子園を目指しつつも、選手個々の能力をはじめ人間性を磨く。この両立は指導者にとっては永遠のテーマかもしれない。

 愛工大名電といえば、甲子園で数々の実績を残し、工藤 公康や山崎 武司といったプロ野球選手。そしてイチローという野球界のスター選手も輩出した高校野球界の超名門。

 ではなぜ、超名門・愛工大名電がこの問題に挑んでいるのか。
 「甲子園という夢をもってウチに入学する選手もいますが、3年間で終わるわけではない選手もいます。ですので、先を見据えて高校野球をステップにしっかりと選手を育成する。だから高校野球界のホークスになれればと思っているんです」

 この育成方針を可能にするだけの練習施設は十分に整っている。後藤淳記念球場には、球速はもちろん打球速度などを計測することが可能な機器が4か所に設置。近くにある野球部専用の寮には初動負荷トレーニングができる器具も備え付けられている。

 さらに、プロ野球のキャンプでは当たり前のように使われる、撮影した映像が遅れて再生される撮影器具もあるなど、充実の練習環境が愛工大名電にはある。

 その環境を存分に活かしながら、倉野監督は選手たちと日々向き合い、全国制覇を目指しつつも、高校野球以降でも活躍できる人材を育てている。その取り組みの一環がUCLBと呼ばれるプログラムである。

 これは夏の大会を最後に引退する3年生が対象。引退後も次のステージで即戦力として活躍できるよう、現役選手たちと時間を分けながら練習を行う。さらに土日になれば、木製バットを使い、大学や社会人を相手に練習試合も実施するプログラムである。

 実際に取材当日も、3年生はグラウンドで木製バットを使った1ヶ所バッティングをしている姿があった。スイングや打球を見ていると、木製バットを苦にしている様子はなく、上手く対応しているように見えた。

 大会の結果はもちろんだが、卒業後の活躍や進路と言った指標も高校野球界においては重要視されるようになってきた。こうした視点から見ても、愛工大名電のUCLBは、時代のニーズに合ったものであり、同時に他校にはない一歩先を行く取り組みだと言えるのではないだろうか。