目次

[1]俊敏性(クイックネス)とは/盗塁と帰塁から考える俊敏性
[2]俊敏性を鍛えるドリルとパワーポジション/聴覚刺激と俊敏性


 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 新年を迎え、皆さん気持ちも新たに練習に励んでいることと思います。2022年も高校野球にたずさわる多くの皆さんに、セルフコンディショニングを中心とした情報をお届けしたいと思っています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。さて新年最初のセルフコンディショニングコラムは反応時間を短縮し、素早い動きを実現するための俊敏性(クイックネス)について考えてみたいと思います。俊敏性の能力を向上させるためには何を鍛えていけばいいのでしょうか。

俊敏性(クイックネス)とは


 野球の中で求められる素早い動きにはスピード(速さ)だけではなく、体をコントロールしながら正確に動くアジリティ(敏捷性)、そして刺激に対して素早く動き出すためのクイックネス(俊敏性)が求められます。こうした能力を向上させるためのトレーニングとして、この3つの頭文字をとってSAQトレーニングと呼ばれることもあります。

 俊敏性(クイックネス)とは「刺激に反応して速く動き出す能力」を指します。野球の場面では目から得た情報(視覚)や耳から得た情報(聴覚)などによってその刺激が脳に伝わり、そこから脳が判断して体を動かすという一連の流れがあります。正確性を求められるアジリティとは異なり、刺激に反応する反応時間(リアクションタイム)と、そこから素早く動作時間(ムーブメントタイム)を短くすることが俊敏性を高めることにつながります。

盗塁と帰塁から考える俊敏性

 野球で求められる俊敏性を考えてみると、イメージしやすいのは盗塁を試みようとする場面ではないでしょうか。この時は視覚からの刺激によって「盗塁をする」「帰塁する」という判断を行います。投手のモーションを観察しながらタイミングを狙って次の塁へのスタートを切るという一連の動作には俊敏性が求められます。反応時間が遅いと盗塁を失敗する確率は高くなりますし、素早く反応しても動き出す動作時間が遅ければやはり失敗の確率は上がります。一方、帰塁の場面を考えたときに、反応時間が遅いと投手の牽制に刺されてしまうことがありますが、反応時間が遅くてもその後の動作時間が短く、素早い動きができるとセーフになることもあります。このように俊敏性は刺激に素早く反応する時間と、反応後の動作時間を短縮することでパフォーマンスアップに貢献すると言えるでしょう。