海の向こう、アメリカでは大谷 翔平が、メジャー4年目にして二刀流を成立させている。日本球界での活躍を含め、大谷の台頭により投打で活躍する選手への評価として「二刀流」と銘打つことが増えた。

 特に、この夏は「二刀流」として注目された数多くの逸材が投打で大暴れを見せて聖地でも沸かせたのではないだろうか。

 筆頭格にあげられるのは、愛工大名電田村 俊介だ。
 甲子園では最速は138キロ止まりで3回途中降板とピッチングでは本調子ではなかったが、愛知大会決勝では自己最速145キロの速球を軸に好リリーフを見せていた。

 打撃では、甲子園でホームランを放つなど高い打撃技術を持っていることを証明した。高校通算32本塁打を積み重ねてきただけのポテンシャルを感じさせ、これまで数多くのプロ野球選手を育成した名将・倉野監督も大谷 翔平と比較するほどだ。

 ファーストに加えて、今春の県大会でサードを守ったことでも大きな話題となった。枠に収まらない逸材は、高卒プロ入りを目指すことを明言している。さらに「二刀流継続」を熱望しており、プロの世界でも投打での大暴れを予感させる。

 二刀流として前評判が高かった神戸国際大附阪上 翔也も、甲子園では投打でチームの勝利に貢献した。

 選抜ではケガの影響もあり思ったような活躍はできなかったが、今大会は最速148キロを計測した。その数字は、今大会登板した投手陣の中でもトップクラスだった。

 なおかつ2回戦・高川学園戦ではライトスタンドに突き刺すホームランも放った。高校通算32本塁打を放つ実力をいかんなく甲子園の舞台で発揮した。

 このほかには、明徳義塾代木 大和広島新庄花田 侑樹の活躍が目立ったが、2年生にも投打で大暴れした選手がいた。

 ベスト4へ近江を導いた2年生右腕・山田 陽翔は、ピッチングでは146キロを計測した。まだ2年生ということを忘れてしまいそうな気迫と馬力があり、見ていて気持ちよい投球だった。特に、準決勝・智辯和歌山戦での5回一死満塁のピンチを脱した投球は圧巻の一言だ。

 打っても準々決勝・神戸国際大附戦でバックスクリーンへアーチを描いた。準決勝・智辯和歌山との試合でもタイムリーを放ち、「よし、いける」と多賀監督を奮い立たせるほどだった。

 投げて、打っての活躍で2年生ながらチームに勇気を与え続けてきた。春山主将も「2年生とは思えないくらい頼れる選手で、助けてもらって感謝です」と言わしめるほどの活躍ぶりを来年も見られることを期待したい。

 同じく2年生ながら、投打でチームを支えた京都国際森下 瑠大の存在も忘れてはならない。

 前橋育英戦では139キロを計測するなど、1対0での完封勝利。2013年の高橋光成以来となる「2年生の1対0完封」の結果を残すと、二松学舎大附との2回戦では逆方向へのホームランをマークするなど、高いポテンシャルを発揮した。

 大会終盤に入ると、疲労からリリーフ登板が増えたが、2年生エースは最後まで左腕とバットを振り抜いた姿が印象的だった。

 大谷がプロ野球選手として第一歩を踏み出した8年前、小学3年、4年生だった選手たち。憧れの眼差しをもって大谷の活躍を見ながら成長し、投打にわたって世代を代表とする存在となったのではないだろうか。

 野球界の可能性は確実に広がっている。それを二刀流選手たちが甲子園で見せてくれた。これまでは、ほとんどの選手が上のステージでどちらかを捨ててきたが、大谷のように本気で持続しようと試みる時代に入ってきているのではないか。今後もそれぞれの次のステージで活躍する姿を見せ、未来の球児たちに可能性を示してほしい。

(記事:田中 裕毅)