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 明治神宮大会・高校の部は大阪桐蔭(近畿・大阪)の優勝で終わり、高校野球ファンは「ああ、来年のセンバツまで楽しみがないなぁ」とお思いでしょうが、ちょっと待て。今度の日曜からは、アマチュア野球の最高峰・第92回都市対抗野球大会が始まるのだ。

 社会人野球でしょ? あまり興味がない。選手もよく知らないし…と読み飛ばそうとしている人も、ちょっと待て。各チームには、甲子園をわかせたかつての球児たちがゴロゴロいるのだ。

 たとえば、日本選手権で優勝し、都市対抗との夏冬連覇(今季は東京五輪のため、通常10月下旬から11月上旬開催の日本選手権が7月に、7月開催の都市対抗が11月下旬開幕という変則日程。ふつうは夏の都市対抗、秋の選手権を続けて制覇すると夏秋連覇という)がかかる大阪ガスのエース・河野 佳。広島・広陵出身の2年目で、優勝した日本選手権では、初戦の日本製鉄東海REX戦を5安打完封するなど、4試合19回を投げて無失点の熱投で最高殊勲選手賞に輝いた。

 河野は、都市対抗近畿2次予選でも先発した2試合、15.2回を2失点。今季の公式戦合計では50回弱で3失点、防御率は0点台中盤と、もはや大エースだ。小柄ながら、最速は150キロ。2種類のスライダー、フォークボールなどを織り交ぜる。

 そして効果的だったのが、今季「初めて試合で投げた」カットボール。「曲がり幅の大きいスライダーは、社会人のレベルでは打たれてしまう」という考えからモノにした、新たな武器だ。

 河野にとっては日本選手権の初戦、日本製鉄東海REXが二大大会の初先発だった。そこでの完封には、大阪ガス・前田孝介監督でさえ、「まさかここまでやるとは……」と脱帽だったが、もともと社会人1年目の2020年からスタッフの目を引いていた。

 春のキャンプ時点では「いま、ウチのピッチャーで一番いい」と当時の橋口博一監督をうならせ、救援ながら都市対抗本大会のマウンドも経験。高卒1年目では異例の抜擢だった。今季も、4月の京都大会で鷺宮製作所を完封(7回コールド)、5月の北海道大会では日本製紙石巻に1失点(7回コールド)の実績を残し、信頼を得ていた。

 思い出すのは19年のセンバツ、八戸学院光星(青森)との1回戦だ。初回、先頭打者を三振に取ったストレートが、自己最速を2キロ更新する150キロをマークしたが、以降は「7割の力で制球を重視」しながらの投球で3安打完封だ。もっとも、優勝する東邦(愛知)との2回戦では、3回途中6失点でKOされたが……。

 その高校時代、投球時にあまりに強く歯を食いしばるため、奥歯が欠けたのだとか。投球時に、欠けた歯の先端が当たると痛い。センバツ大会前までは、ティッシュを詰めるなどしてガマンしていたが、見かねた広陵・中井哲之監督、「マウスピースをプレゼントするからと、歯医者に行かせたんです。それが、透明なのをつくってくるかと思ったら、白いヤツでね。"吉田 輝星金足農—日本ハム)君みたいなハンサムなら似合うけど、オマエに白は…"と笑いましたね」

 するとセンバツ初戦で完封するのだから、マウスピースの効果はあったのだろう。河野は日本選手権で決勝進出を決めたあと、「野球人生でまだ、全国優勝を経験したことがない。監督と一緒に、日本一になりたいです」と語り、チームは見事優勝。今度は、夏冬連覇への挑戦だ。

(記事:楊 順行)