昨年12月8日に開催された12球団合同トライアウト。選手たちがNPBでの現役続行を第一目標として臨む「ラストチャンス」の場だが、近年の自由契約選手が現役続行となるパターンをみれば、戦力外から支配下登録、育成契約となった選手のほとんどがトライアウトを参加せずに決まるパターンが多い。

 事実、NPBに決まったのは巨人を戦力外となった古川 侑利投手(有田工出身)のみ。しかも日本ハム育成契約と、支配下を勝ち取ることができなかった。それだけ厳しい時代となっている。

 一方では、合同トライアウト参加者から次々と社会人野球や独立リーグでの現役続行が決まっている。

 昨年、北関東予選を勝ち抜き、初の都市対抗出場を決めたエイジェックは前阪神・石井 将希投手(桐生第一出身)、前オリックス・神戸 文也投手(前橋育英出身)、前日本ハムの鈴木 遼太郎投手(石巻西出身)の入社を発表した。

 石井は合同トライアウトで11球を投げ、最速143キロを計測。1奪三振、無失点の快投だった。NPBは厳しくても、どの舞台でも現役続行できる切れ味抜群の速球と、変化球を投げ込んでいた。素材の良さ、技術の高さを実感させる左腕だ。

 神戸も140キロ後半の速球を披露。ややコントロールにばらつきがあったが、角度のある速球は魅力的だった。鈴木は常時140キロ前半だったが、高低への投げ分け、変化球の出し入れがしっかりしていた。

 また、合同トライアウトで140キロ後半の速球と鋭い変化球を投げ込み、格の違いを見せていた前オリックスの金田 和之投手(都城商出身)は、三菱重工westの入社が報じられている。最速149キロをマークした前西武の中塚 駿太投手(つくば秀英出身)は神奈川のクラブチーム・ジェイファムの入団が決定した。

 トライアウトで3者連続三振の快投を見せた荒西 祐大投手(玉名工出身)もBC信濃で投手兼コーチとして現役を続行する。

 野手では、トライアウト参加者では注目度No.1だった若きスラッガー・山下 航汰外野手(健大高崎出身)と、昨年1軍で93試合に出場した武田 健吾外野手(自由ケ丘出身)の三菱重工east入社が決定した。前オリックスの育成選手だった佐藤 優悟外野手(柴田出身)もBC福島で現役続行が決まるなど、合計9人の現役続行が決まっている。

 現在のトライアウトは、独立リーグ、社会人野球のチームにとって絶好のスカウティングの舞台となっている。今回の9人はNPBは難しくても現役続行できるだけのパフォーマンスは見せていた。

 トライアウトは狭き門になっているが、戦力外選手のレベルは高まっている。10年前~5年前のテレビの戦力外特番を見た時はなんとなく「戦力外になる選手だな…」というのは分かったが、近年は投手にしても140キロ後半の速球に、キレのある変化球を投げ込む。野手でも、1軍93試合出場の武田は別格のスピード感あふれるプレーを見せていた。今年はメットライフドームで選手を目の当たりにして「このレベルでも支配下登録、育成登録は難しいのか…」と驚かされた。

 今後もトライアウトの開催時期、あり方については議論されるだろう。球場開催でNPBスカウト、社会人野球のスカウト、独立リーグのスカウトを招いてのトライアウトは積極的に開催するべきだと考える。試合形式だからこそ、選手の実力を測れるというメリットは大きい。

(文=河嶋 宗一)