<秋季東京都大会:二松学舎大付7―4日体大荏原>6日◇1回戦◇コトブキヤスタジアム立川市営球場
秋季東京都大会の1回戦32試合の中で、好カードの一つに挙げられている強豪校同士の対決である。
二松学舎大付は2021年夏から4期連続で甲子園出場を果たすなど、ここまで春7回、夏は5回の甲子園出場実績を誇っている。
日体大荏原は1960年代には甲子園出場の実績があるが、その後は低迷期もあって、全国の舞台からは遠ざかっている。それでも、2022年夏の第104回東東京大会では決勝進出を果たして復活の兆しを示している。図らずも、その時の決勝の相手が二松学舎大付だった。
今秋の一次ブロック予選では二松学舎大付は東京電機大高に20対0と大勝し、都立の強豪でもある片倉には雨天継続試合を経て7対0で勝利しての進出となった。日体大荏原は初戦では3校連合に危なげなくコールド勝ちしたが、代表決定戦では八王子北と延長タイブレークまでもつれて4対3で辛くも勝利しての本大会進出となった。
試合は、序盤から激しく動いた。
まず初回、日体大荏原は一死一二塁から4番木村太郎選手(2年)が左中間二塁打して2者を帰して先制。しかし、その裏二松学舎大付はいきなり入山唯斗選手(2年)が二塁打して反撃開始。バント安打と内野ゴロで1点を返すと、4番の福和田啓太選手(1年)が繋ぎ、6番花澤莞爾選手(2年)が左中間三塁打を放って逆転。
それでも、日体大荏原もすぐに2回、下位打線でチャンスを作り、二松学舎大付の先発河内紬投手(2年)を降ろして、代わった1番をつけた及川翔伍投手(2年)から、中村逢良選手(2年)が中前打して同点。食い下がってくる。
そこから試合は少し落ち着いてくる。3対3のまま我慢比べが続く。
すると5回、日体大荏原が二塁打の中村選手をバントで進め、犠飛で帰して再びリードする。
追いかける展開となった二松学舎大付。その裏の5回は無死で連打が出たがけん制死など、ややちぐはぐな攻め。その後も日体大荏原の2人目小林壱真投手(1年)を攻略しきれない。それでも、7回に一死から、カウント1-1からの代打で出場した今井悠斗選手(2年)が右前打すると、宮本修佑選手(2年)も続きチャンスを広げる。そして、4番福和田選手の犠飛で同点とすると、続く永尾愛蓮捕手(2年)の一打が、外野手の後逸を誘って逆転打となる。
8回にも二松学舎大付は下位打線から好機を作ってさらに2点を奪って、リードを盤石なものとした。そして、2回途中からのロングリリーフとなった及川投手が9回も1安打で抑えて、そのまま逃げ切った。
二松学舎大付としては、中盤までは苦しもながらも、最後はひっくり返すあたりは、さすがの戦い方といっていいであろう。市原勝人監督は、「やはり、新チームの本大会の初戦は緊張するのか、硬かったですね。相手は予選で接戦も戦ってきているけれども、ウチは接戦を戦っていないからね。こういう辛抱の展開は苦しかったです。本当は、河内も5回くらいまでは持って欲しかったんですけれども、意識しすぎたのか力んでいましたね」と展開を振り返った。
その中でリードオフマンの入山選手は5打数4安打で2本の二塁打。チームを引っ張っていた。ただ、市原監督としては「永尾と熊木(三塁手)が、本来の活躍をしていなかった」と、苦戦の要因も分析していた。
過去7回センバツ出場を果たしている二松学舎大付だが、ことに2000年以降は前半で苦戦しながらも、徐々にチーム力を整えていくという戦い方で甲子園を掴み取っている。この秋も、そんな予感を漂わせる戦いぶりでもあった。
日体大荏原は、ベンチも活気があって勢いも感じさせてくれていたが、7回に追いつかれて失策で逆転となったのが痛かった。