<令和6年度第77回秋季千葉県高等学校野球大会:千葉黎明 11ー4 専大松戸(6回コールド)>◇6日◇準決勝◇千葉県野球場

 千葉黎明が10年ぶり2度目の関東大会出場を決めた。敗者復活戦では夏ベスト4の市原中央、県大会では中央学院成田東海大浦安東海大市原望洋と強豪を破って専大松戸との準決勝に臨んだ。4回表に2点を先制し、その裏、専大松戸の反撃に遭って4点を奪われて逆転されたが、5回表、チャンスの場面で打席に立ったのが主将・山本 大我内野手(2年)だ。内角高めに浮いたスライダーを捉えた打球はレフトスタンドへ飛び込む逆転3ランとなった。

「1点ずつ返して、次につなぐつもりだったのですが、入ってくれて驚きました」と自身でも驚きの一打となった。

 山本はこの試合で4打数3安打5打点の大活躍。5安打を記録した3回戦以降の計3試合で13打数10安打、1本塁打、7打点と打ちまくっている。170センチ63キロとそれほど上背はないが、体の内側に秘めたパワーがある選手だ。

 打撃フォームを見ると体幹の強さと一定以上のスイングスピードがないと打てない打法をしている。スクエアスタンスでバットを立てて構えて、すり足気味にステップして、スイングを行う。大きな反動を使うわけではなく、小さな動きでトップに入るので、立ち遅れが少ない。この打撃フォームは相当振り込まないと強い打球は打ち返すことができない。

 山本は夏休みの練習が大きかったと語る。この夏、初戦敗退に終わった千葉黎明は朝8時過ぎから夕方までの練習を送った。練習メニューは振り込み、守備練習、トレーニングと冬の練習でやるようなことを夏に行った。とてもきついメニューだったが、「あの練習があったから振れています」と胸を張る。

 守備も軽快で、小刻みなステップから打球をさばいて安定感がある。中野 大地監督も「守備がいいですし、打撃も当て勘がいいのですが、一番は野球勘がいいことですね」と高評価する。

 プレーを見ても、一喜一憂せず、自分のプレーに集中している。気持ちのブレがないので、安定したパフォーマンスが期待できる。これほど攻守ともに完成度が高い内野手はなかなかいない。強豪大学でプレーできるのではと思わせる逸材だ。

 千葉西シニア時代はマリーンズカップに優勝して、県内一となった。チームメイトにはこの夏の甲子園第1号を放った柴田 元気内野手(東海大相模)がいる。中野監督の熱心な誘いを受け、同校に入学した。

 強豪を破り続け掴んだ関東大会出場。10月26日開幕するこの大会では間違いなく注目プレーヤーになりそうだ。