<第155回九州地区高校野球大会鹿児島県予選:樟南2-1鹿屋中央(延長10回)>6日◇準々決勝◇平和リース球場
樟南の右腕エース・五反田 流星(2年)、鹿屋中央の左腕・溝淵 爽(2年)。大会屈指の左右両腕が前評判通りの好投を繰り広げた。それを助ける両チームの好守も随所にあり、今大会屈指の好勝負となった。
鹿屋中央は2回に無死一三塁、3回に一死一三塁と絶好の先制機を作ったが、五反田が踏ん張って得点を与えなかった。
4―6回は逆に樟南が毎回先頭打者を出し、5回は一死一三塁とするも併殺で打ち取られ、6回は一死二塁から連続三振と溝淵に牛耳られた。
9回まで両者無得点で、タイブレーク方式の延長戦へ。
10回表、鹿屋中央は一死満塁から1番・君島 虎太郎(2年)の左前適時打でようやく均衡を破ったが、得点はその1点のみ。
その裏、樟南は1番・政野 宏太主将(2年)のバントヒットが決まって満塁。2番・塚原 集成(2年)の遊ゴロの間に同点。満塁となって最後は4番・迫山 寛汰(2年)が押し出し四球を選び、逆転サヨナラ勝ちで4強入りを決めた。
エースの力投に最後は味方が応え、樟南が粘り強く逆転勝ちした。
「自分でおさえようと力んでしまう」。新チーム結成以降、五反田には明確な課題があった。ボールに力があるだけに、おさえてやろうと力んでしまうと、ボールが甘く入って打たれてしまう。8月の鹿児島市大会では決勝で鹿児島実に延長戦で敗れた。この日も、序盤にピンチを招いたのは、力んだボールを打ち込まれてしまったからだ。
「1人で野球をやらない!」「楽に投げろ!」「みんなで野球をやるぞ!」…ベンチから山之口 和也監督が盛んに声を掛ける。6、7割の力で、変化球を低めに制球出来ればそう打たれることはない。力のある速いボールで牛耳ろうと力むときに限って、ボールは走らず、打ちごろにいってしまう。頭でわかってはいるが、なかなか実践するのは難しい。試合の序盤はそんな感じだった。
それでも「要所では力が抜けて良い投球ができていた」(山之口監督)。9回まで互いに本塁が踏めず、タイブレーク方式の延長戦へ。「バントは絶対させないとベンチで話していた」と五反田。投げ合いを演じた先頭打者の溝淵を三振で打ち取る。次の打者は思い切って内角を突いたら死球。満塁とピンチが広がり、適時打を浴びて先制点を許したが「四球を出さなかったのが良かった」と強気が切れることはなく、失点を1にとどめたことが、その裏の逆転劇を呼び込んだ。
九州大会出場をかけた準決勝の相手は、夏の決勝で涙をのんだ神村学園。「今日のようにみんなで野球をやる」ことに五反田は雪辱の活路を見出していた。