<秋季東京都高校野球大会:東亜学園 4x-3 東海大高輪台>7日◇1回戦◇コトブキヤスタジアム
ともに実績のある東亜学園と東海大高輪台の対戦であったが、試合は東亜学園が1点リードされて迎えた9回裏に2点を入れて、逆転サヨナラ勝ちした。試合後東亜学園の武田朝彦監督は、「力はここ10年くらいで一番ないです。そのことに目をそむけず、わきまえている、という状況です。でも試合は負け試合でした」と語った。
東亜学園は背番号11の左腕・佐々木 俊(2年)、東海大高輪台は背番号10の西 海輝(2年)が先発した。もっとも、東海大高輪台の西は、経験も実績もあり、エースといっていい存在だ。
東亜学園は1回裏に一死二、三塁のチャンスを作ったが、得点できない。東海大高輪台も走者は出すものの得点できない。4回まで両チーム無得点であったが、5回表東海大高輪台は、二死二塁から9番の西が右前適時打を放ち、投手自らの安打で1点を先制した。
対する東亜学園は7回裏一死二塁から代打・磯沼 隼斗外野手(1年)の中前安打で同点に追いつく。8回表裏に両チームとも1点ずつを入れ同点で9回を迎えた。
9回表東亜学園は背番号1の高野 秀斗(1年)を登板させたが、東海大高輪台は、二死一、三塁から2番打者で主将の鎮目 幸大内野手(2年)の内野安打で1点を入れる。しかしその裏8回から登板している東海大高輪台の背番号11の中林 龍成(2年)が、2つの四球を出し、それに失策が絡み一死一、三塁となった。東亜学園は1番・佐藤 海斗捕手(2年)の右前安打で同点に追いつく。なおも一死一、三塁で2番・鈴木 朝陽外野手(2年)の初球に三塁走者が飛び出し、アウトになる。「あれはセーフティスクイズでした。大事なランナーなので、代走を出すべきでした。私の責任です」と東亜学園の武田監督は言う。けれども、2番打者の鈴木は冷静だった。次の球を叩くと打球は左中間に飛ぶ。「高く上がり過ぎたかと思いました」と言う鈴木であったが、左中間を破る三塁打となり、一塁走者が頭から生還し、劇的なサヨナラ勝ちになった。「真っ直ぐのインコースしかないと思い狙っていました」と鈴木は言う。
この試合は右翼手で起用された鈴木であるが、もともとは投手。「いいボールを投げています。運動能力が高く、バッティングもいいです」と武田監督は言う。ただ本来は投手だけに、外野の守備は「全然だめです」と鈴木は言う。この試合でも自身のミスが失点につながった場面もあっただけに、「絶対に打ちたかったです」と鈴木は言う。
「新チームで、チーム作りに時間がかかります」と武田監督。確かにミスも多く、反省材料が多い試合であったが、最後は鈴木の三塁打でしっかり勝ったことは大きい。1週間でそんなにうまくなるものではないものの、週末ごとに試合がある秋季大会では、試合を重ねるごとに成長していくチームはある。東亜学園としては、勝てたことが最大の収穫であった。2回戦は13日に小山台と対戦する。