今年のドラフトでは高校生捕手が少ないといわれている。その中で強打の捕手として人気が高いのが椎木 卿五(横浜)だ。この夏の神奈川大会では26打数14安打、2本塁打、9打点と大当たりだった。父は元ロッテなどで活躍した椎木匠氏。父に続くプロ入りが期待される。打撃型捕手として存在感を示しそうな椎木について迫っていきたい。
この夏は決勝戦で世代NO.1左腕・藤田 琉生投手(東海大相模)からライトへ本塁打を打つなど、ライバルとの対戦で5打数4安打、サイクルヒットを達成し、試合には敗れたが、個人としてこれ以上ないアピールだった。コンタクト力が高く、広角に長打が打てて打撃の幅が広いのが特徴だ。
打撃フォームを見ると、まず構え方が非常に良い。スクエアスタンスでバットを立てて構える姿は、しっかりと投手を見据えることができている。的確にボールを捉えることができるのは、この構えの良さから始まっている。始動のタイミングを見ると、投手の足が降りたところから左足をしっかりと上げる。しっかりと足を上げる選手はトップの立ち遅れを防ぐことを意識しないといけないが、椎木の場合、立ち遅れせずにトップを作ることができているので、振り遅れが少ない。このトップの作り方はお手本ともいえるぐらい綺麗だ。
踏み出してから腰を鋭く回転させてボールを捉える。バットが遠回りすることがないので、速球投手にも対応ができて、技術でボールを飛ばすことができる。逆方向に対しては当てるのではなく、しっかりと強いスイングで打ち返すので、本塁打にもできるのだ。変化球に対してもストライクゾーンに入ったボールも難なく打ち返せる。
椎木は大舞台にも強い。夏の神奈川大会決勝戦の5安打以外にも重要な一戦での活躍が光る。2年春には夏のシードをかけた桐光学園との県3回戦では2本塁打。この春の準々決勝では慶応との試合で先制2ランを放った。大観衆の中でこのパフォーマンスができる勝負強さはNPBの舞台でも大きな強みになるだろう。
守備については、キャッチングも安定している。下級生から修羅場をくぐっていることもあって、粘り強いリードを見せる。
NPBの世界ではサインプレーなど複雑になっていく中で、緻密な野球をしている横浜で3年間揉まれた椎木はその世界にフィットするだろう。二塁送球は1.9秒台の強肩を披露しており、3年間ずっと見てきて、コントロールミスがほとんどない。もちろんプロに入れば壁にぶつかることはあるが、持ち味を発揮するまで時間はかからなさそうだ。
捕手は投手を支えるポジションであるが、打者・椎木は主役級の活躍を保土ヶ谷球場、横浜スタジアムで見せてきた。捕手層が少ない球団は3、4位あたりで指名するのではないか。
1年目から二軍で多くの出場機会も得られると予想する。3年目ぐらいから一軍定着、4年目から一軍での飛躍が期待できそうだ。将来的には3割前後を期待できる打てる捕手になりそうだ。
<椎木 卿五(しいぎ・けいご>
180センチ85キロ 右投げ右打ち
中学時代は千葉県の強豪・京葉ボーイズに所属。
同期にはともにプロ志望届を提出した三井 雄心内野手(浦和学院)、福尾 遥真内野手(学法石川)がいる。
横浜では1年秋から正捕手に。
2年夏には準優勝
2年秋は関東大会初戦敗退
3年春は県大会ベスト4
3年夏は準優勝
甲子園出場なし。高校通算16本塁打のうち、公式戦は6本塁打と実戦の強さが光る。
父は元ロッテの椎木匠氏
【中学時代の本塁打動画!】