2024年度の第106回全国高校野球選手権(阪神甲子園球場)が7日に開幕を迎える。4日には組み合わせ抽選会が予定され、初戦の相手が決まる。49代表がどんな組み合わせになるのか楽しみだ。
今年、各都道府県大会の決勝では、強豪が大方の予想通りに勝利を収めて甲子園切符を勝ち取る一方で、予想を覆し強豪の優勝候補を決勝で破って甲子園出場を果たしたチームもいる。
◆宮城大会決勝
宮城では、決勝で仙台育英が敗れた。22年夏の甲子園優勝チームで、昨年は準優勝。2年連続で夏の甲子園決勝の舞台を経験した「常勝軍団」が、甲子園出場1歩手前で敗れた。勝利したのは、聖和学園。昨年の秋に優勝したチームで「番狂わせ」ではないが、秋は仙台育英と対戦することなく優勝し、春は準決勝で2対13と5回コールド負けを喫している。力の差はあるのではないかと思われたが、本番の決勝では19安打を放って「常勝軍団」を打ち負かした。
各打者がコンパクトなスイングをしていたのが印象的だった。マルチ安打をマークした選手は5人。3安打以上は3人もいた。4番の佐藤 煌馬内野手(2年)は5打数4安打3打点。140キロ超えを連発する仙台育英投手陣を完全に攻略してみせた。
◆新潟大会決勝
新潟では、プロ注目の大型右腕、茨木 佑太投手(3年)を擁する帝京長岡が決勝で敗れた。秋準優勝、春優勝した優勝候補筆頭のチームが、夏の決勝で敗れた。このプロ注目の投手を攻略して、春夏通じて初の甲子園出場を決めたのは、新潟産大附だった。
2回に2点、5回に2点を挙げ、4点を守り切った。コンパクトに振り抜いた打球が外野の間を抜く適時二塁打となったり、たたき付けた打球が三遊間を抜けて適時打となるシーンがあった。やはり、ここでもコンパクトなスイングでたたき付ける打撃が功を奏している。好投手を打ち崩すお手本のような打撃で10安打をマークして、堂々と甲子園出場を手にした。
◆岐阜大会決勝
岐阜城北6-5県立岐阜商
(延長11回タイブレーク)
岐阜でも秋準優勝、春優勝の県立岐阜商が、決勝で敗れた。夏の甲子園出場30度の伝統校で、2021年から夏2連覇を果たすなど、近年でも岐阜県、東海地区で強さを誇っていた強豪が、延長タイブレークの末に、敗れた。その牙城を崩したのは、岐阜城北。その強みは粘りと勝負強さだった。
決勝では9回に2点、10回に1点、11回に1点を挙げている。勝利に導いた終盤の得点は、適時打なしで積み重ねたものだった。9回はボール球を見極めるなど、2死走者なしからの5連続四死球で2点を得た。タイブレークとなった10回表は犠牲フライ、11回表も犠牲フライだった。ヒットが出なくても得点できるチームだった。
2回戦では9回サヨナラ、準々決勝では9回逆転サヨナラと、終盤の勝負どころで粘りを見せて勝ち抜いてきた。決勝でも粘り強く戦い、しぶとく得点を重ねた結果が、甲子園切符という成果につながったのだろう。
100周年を迎える甲子園。これまでも様々な筋書きのないドラマの舞台となってきたが、地方大会で自分たちの戦い方を貫き、強豪を倒してきたナインに、「ご褒美」が用意されているかもしれない。