<秋季鹿児島県大会:神村学園 6-1 鹿児島実>12日◇決勝◇平和リース球場

 秋の頂上決戦は神村学園鹿児島実の両巨頭で競われた。

 先制したのは神村学園。1回裏、3番・今岡 拓夢主将の左前適時打と、2つの押し出しで3点を先取した。

 2回にも今岡主将は中前適時打を放ち、4点目を挙げた。

 3回まで3人ずつでおさえられていた鹿児島実は4回表、先頭の1番・室屋 友郎(2年)が四球で出塁し、3番・垣尾 義弘(2年)、4番・前田 大成(2年)が連打で1点を返した。

 なお一死満塁と好機が続いたが、神村学園は2番手・千原 和博(2年)にスイッチ。併殺で切り抜け、ピンチの場面を1失点でしのいだ。

 神村学園は6、8回と4番・窪田 瑶(2年)が中前適時打を放って追加点を挙げる。投げては2番手・千原が鹿児島実打線を5回以降2安打に抑え、付け入るスキを与えなかった。

  技術、戦術、人間性、「3倍の速度で成長する」(小田大介監督)。神村学園が今大会掲げたテーマである。試合を重ねるごとに成長し、「打倒・神村」を掲げて挑んできたライバルをことごとく退けて、秋の鹿児島を制した。

 今大会6試合で四死球6、失策3。早瀬 朔(2年)、千原、窪田ら投手陣の安定した制球力と堅守で不要な失点を与えなかったことが大会を制する最大の要因だった。決勝戦も始まりは先発左腕・窪田の3者連続三振。4回に連打を浴びて1失点したが、リリーフした右腕・千原が併殺で切り抜け、5回以降は鹿実打線を2安打に抑え、反撃の機会を与えなかった。

 打線では4番・窪田が6、8回の好機に中前適時打を放ち、成長ぶりを見せた。六回一死一二塁の好機でエース大野純之介(2年)が登板。中学時代に同じ奄美で競ったライバルに「負けたくない」強い気持ちで打席に立ち「低目の変化球で打たせてとるのがうまい投手だから、ベルトの高さより上の直球を弾き返すことだけを考えた」と2球目の直球を中前に弾き返した。

 8回は2ストライクと追い込まれたが「直球、変化球どちらにも対応できるように」とファウルで粘り、ボール球のチェンジアップに体勢を崩されながらもしぶとく拾って適時打を放ち「バットコントロールの巧さ」(小田監督)を発揮した。

  2年連続で夏の甲子園4強を成し遂げた3年生のチームに比べれば、実力も経験も足りない。甲子園を戦った分、他チームより新チームの始動が約1カ月遅れているからこそ、この秋は試合を重ね「勝って反省」(小田監督)を心掛け「3倍の速度の成長」を目指した。準決勝では外野でエラー、決勝の先発では5回持たなかった窪田だったが、その分の悔しさを打撃で生かした。

 「経験のある自分たちがチームを引っ張る」ことを心掛けたと今岡主将。夏の甲子園を主力で経験した今岡主将は2打点を挙げ、守備でも内野ゴロをことごとく軽快にさばき、チームを勢いづけた。

 3年生のチームと昨秋時点と比較すれば「こんなに差があります」と小田監督は両手を縦に大きく広げる。比較するのが酷なのは理解しているが、目指す全国制覇のために「高いものを求める」姿勢に妥協はない。まずは九州大会で「4季連続甲子園」を目指し、さらなる成長を目指す。